パイプライン管理とは?効率の高い営業管理手法
売上目標に向け、日々あわただしく働く営業部門の方々…。
顧客と商談する現場の皆さんが大変であることはもちろん、それを束ねるマネージャーの皆さんも、苦労が絶えないことでしょう。
そんなマネージャーの方々がチームの管理をする際、様々な手法がありますが、本稿で取り上げるのは「パイプライン管理」と呼ばれる手法です。
実際の商談の流れに則した管理方法であるため、現実的で、現場の皆さんとの意思統一もしやすいのが特徴となっています。
人の管理・売上の管理でお困りのマネージャーの皆さんはもちろんのこと、現場の皆さんにとっても自身の業務管理に必ず役立つ情報ですので、ぜひ最後までご覧ください。
【この記事の目次】
営業活動の管理がうまくできていなくてお困りではないですか?
絶え間なく活動しつづける営業部門。
日々目標の数字と格闘しながら、顧客との商談に、資料作りに、報告に…と、現場の営業マンはとかく忙しいのが常です。
そして、そんな営業マンたちを管理しながらそれぞれを的確な方向に導き、社に課せられる売上目標達成のためあの手この手で戦略を立てるのがマネージャーです。
そんな営業マネージャーの皆さんも、毎日様々な困難に直面しているのではないでしょうか。
一般的に、下記のような課題を抱えているマネージャーが多いようです。
・営業マン1人1人の行動を把握できていない。
・営業マンの成果にかたよりがある。
・長期的な計画を立てることが苦手。
・指導をしても効果が見られない。
本稿をお読みのマネージャーの皆さんにも、1つは当てはまるものがあったのではないでしょうか。
実は、上記の課題はある1つのキーワードでまとめて解決することができます。
そのキーワードとは可視化です。
営業の業務を誰にでも分かりやすく、瞬時に全体を把握できる形で可視化することに成功すれば、それが様々なマネジメント業務のヒントとなります。
これより先、営業マネジメントの手法の1つである「パイプライン管理」についてご紹介していきますが、この手法はバックボーンに「可視化」があります。
可視化のメリットを最大限に活かし、現場の営業マンにも理解しやすい形で管理と成長を後押しするパイプライン管理の基本を、ぜひ覚えておいてください。
パイプライン管理とは?
まずはパイプライン管理という言葉の意味をご説明しておきましょう。
パイプライン管理とは、営業部門をマネジメントするための手法の1つです。
「パイプライン(pipeline)」は、一般的には水道管や石油管といった、ある程度長距離の「管」を示す英語ですが、こと営業分野の中では受注から成約に至るまでのプロセス全体を指す言葉です。
業種・業態によっても異なるでしょうが多くの場合、営業プロセスとは下記のような流れになるでしょう。
・問い合わせ
・ヒアリング
・初回訪問
・提案
・合意
・契約
ひるがえってパイプライン管理とは、営業活動をこうしたプロセスごとに分解し、時系列に沿って状況を把握していくやり方です。
1つ1つの案件が今どの段階にあり、どのような見込みで進んでいるのか…という視点で営業マンたちの動向を管理していきます。
あくまで業務内容を軸とした管理方法のため、数字だけを追うやり方よりもリアルタイムな管理が可能で、人や業務の進捗をきめ細やかに可視化することができます。
また「机上の空論」ではなく、現場の視点に寄り添った目標設定やアドバイスが可能になります。
不随する基礎知識として、このパイプライン管理を行なう目的や、そのメリット・デメリットを以下に簡単にまとめます。
パイプライン管理の目的
パイプライン管理を行なう目的とは、営業プロセスを可視化することで業務の課題や成果を明らかにし、生産性向上につなげることです。
特に以下のような局面でパイプライン管理は効果を発揮します。
とある営業部門では、営業マンが目標達成に向け一丸となってがんばっており、誰一人サボったり手を抜いている様子はない。にも関わらず商談数のわりに成約率が低い。
営業の世界ではよくある事例かもしれません。
このような状況を打破するために必要なのは、原因の究明です。
パイプライン管理によって各案件を問い合わせから契約までの各プロセスごとにグループで分類し、どこで滞留して、どのようなタイミングで失注しているのかを明らかにすれば、対策を打つことができるでしょう。
パイプライン管理のメリット・デメリット
どんな物事にも表があれば裏もあります。
パイプライン管理のメリットとデメリットを両方把握しておくことで、より効果的なパイプライン管理を行なうことができるはずです。
まず、マネージャーにとってパイプライン管理を行なうメリットとしては以下のようなものがあります。
~メリット~
・中長期的視点での予測が可能に
案件をプロセスごとに分解することで、各プロセスにかかる時間や、成功率を可視化することができます。
このデータを活用すれば、今月初回訪問となった案件の数々が2か月後・半年後にどのように着地しているか…といった予測を容易に立てられるでしょう。
この予測に応じ、訪問件数を増やさなければならない、または訪問件数は十分だから他の業務に人員を当てがおう…といった戦略を立てればよいわけです。
・営業マン1人1人の行動を可視化
パイプライン管理を行なうことにより、各営業マンの案件進捗や行動を図表やグラフで表すこともできるようになります。
誰が今、何をしているのかが一目瞭然なうえ、売上目標に近づいている者、そうでない者もリアルタイムで把握することができ、現実に則したアドバイスが与えられます。
こうした活動がチームの生産性向上に効果を発揮するでしょう。
・営業マンの育成に有効
上記のように各営業マンの行動が可視化されることで、今、誰がどこで躓いているのか…また誰がどのプロセスを得意とし、苦手としているのか…といった、パーソナリティの部分も浮かび上がってきます。
行動データに則した的確なアドバイスをしてあげることで、聞き手側も現実的な話としてしっかりそれを身に付けることができるはずです。
またあるスタッフの成功プロセスを他のスタッフの苦手克服のテキストとすることもでき、営業マンの育成も効率的・効果的に行なうことができます。
以上は管理する側のメリットですが、一方で管理される側の営業マンにもパプライン管理のメリットはあります。
~メリット~
・自分の活動を客観的に分析できる
たくさんの案件を抱えていると、自分がいつ・何をするべきなのかが見えなくなってしまうこともあります。
パイプライン管理で可視化した営業プロセスをチーム内で共有すれば、自分のどの案件が順調で、どの案件が放置されているのか…といった状況分析が客観的にできるようになります。
今こそ注力すべき案件と後回しにしても良い案件が明確になり、時間と労力を有効に使えることでしょう。
・目標と達成のための手段が明らかに
自分の目標に対する達成度もリアルタイムで把握できるため、そのための具体的な対策を自分で考えることができます。
過去のデータから「自分はクロージングが苦手だから、クロージングの成功率が高い先輩に話を聞いてみよう」といったデータを活用した柔軟な対策も可能になり、モチベーションの向上にもつながるはずです。
~デメリット~
・データ入力作業が付き物
パイプライン管理は、営業マンとマネージャーとの情報交換を前提としたものである以上、何らかの形で頻繁な情報共有とデータ入力が必要になります。
その手間と時間は必ず発生することは認識しておくべきでしょう。
またこうした入力作業に伴い、どうしても入力ミスや入力漏れが発生するリスクも考慮しておく必要があります。
ただし、こうした手間やリスクは後述するITツールの導入で最小限に抑えることもできます。
・ネガティブなポイントに目が行きがち
どんな手法でも、行き過ぎた管理は考え物です。
パイプライン管理では、営業マン1人1人の進捗が明確に可視化されるため、遅れや未達に対して厳しい目を持ってしまいがちです。
しかしボトルネックを見つけて適切な対策をし、チーム全体で売上を向上させるというパイプライン管理本来の目的を見失わず、1人1人の長所を伸ばすことに目を向けましょう。
パイプライン管理を始めるステップ
では実際にパイプライン管理を始めるとして、どのような準備と手順が必要なのかをステップごとにまとめます。
細部は組織や企業によって異なりますし、ここでご紹介するのはごく初歩的なパイプライン管理です。
自社の業務に応じてカスタマイズしたり、実際の運用の中で使いやすく進化させてみましょう。
STEP1 商談プロセスの定義
まずは自社の商談について、プロセスを分解・定義してみましょう。
本稿の冒頭で「問い合わせ・ヒアリング・初回訪問……」といった例を示した部分です。
このプロセスは企業によっても違いますし、また組織としてどこにポイントを置きたいかによっても構成が変わってくるかもしれません。
商談プロセスを定義する際は、下記の点を意識してください。
・顧客の視点でプロセスを分解する
特にパイプライン管理に慣れていないうちは、顧客視点でプロセスを分解すると分かりやすくミスもありません。
なぜならパイプライン管理とは、言い換えれば顧客が置かれている状況を把握することで、それに対する企業側の行動を決定するためのものだからです。
自社営業マンの行動ばかりを追っていると、肝心な商談が先へ進まないこともあります。
・プロセスの定義を明確にする
前述の例で言えば、「ヒアリング」と「初回訪問」はどう違うのか?といった点は事前に明確にしておかないと、収集するデータもあいまいなものになってしまいます。
「社内でよく使う言葉だから、言えばわかるだろう」と思ってしまいがちなのですが、実は個人によって理解に微妙な差異が存在したり、新人が理解が浅いままに知ったかぶりしてしまっている…というのもよくある話です。
目的に向かってチーム全体の意思を統一するためにも、定義とその共有は徹底しましょう。
STEP2 各商談プロセスの「クリア条件」を設定
商談プロセスを分解、定義したことで安心してはいけません。さらに重要なのが、各プロセスのクリア条件を設定することです。
各ステップは「どうすれば次のステップに進むことができるのか」をしっかりと定義しておくことで、正確なデータを集めらることに加え、指針が明確になり、営業マンたちも自身の行動を管理しやすくなります。
例えば《ヒアリング》のクリア条件であれば、「特定の3つの質問の回答をすべて得て、部長の●●氏に提出すればヒアリングのプロセスはクリア」というようなものです。
クリア条件設定の際は、誰が見ても誤解の余地を与えないよう、なるべく具体的な数字や個人名を明記するのがコツです。
STEP3 現状の案件を各プロセスに当てはめる
現在チームで抱えているすべての案件が、どのプロセスに当てはまるのか、営業マンに聞き取りを行ないながら1つ1つ当てはめてみましょう。
併せて各プロセスにいる顧客数や、どれだけの割合で次のプロセスに進めているかというCVR(転換率)の数値を導き出すことをおすすめします。
また、この作業を通じて改めて定義づけやクリア条件に不備を発見することができるでしょう。その場合は臨機応変に調整し、少しずつ完璧なパイプライン管理を形作っていきましょう。
STEP4 各プロセスの分析
プロセスも案件も可視化できたら、真の目的であるそれらの分析、またそれに基づく業務改善に取り組んでいきましょう。
マネージャーは週に1度は各プロセスの進捗を確認し、下記のようなポイントをチェックしてください。
~チェック項目~
・前週の各プロセスの顧客数の変化、またその原因
・今週、各プロセスで顧客数がどう変化するかの予測
・売上目標に対する現在の達成状況
・達成状況が芳しくない場合、対策の検討
これらのチェックにより、何がボトルネックになっていて、それに対してどうするべきかが導き出されるはずです。
こうした情報はマネージャー1人で握っているのではなく、なるべくチーム全員に共有するようにしましょう。
全員で同一の目的意識を持ち、支え合いながら業務に取り組むことができるようになります。
パイプライン管理で気をつけるべきポイント
ではここで、パイプライン管理を行なう際に、注意しておくべきポイントをいくつかお伝えしておきます。
闇雲に実践してしまう前に、必ず理解しておいてください。
リアルタイム性を重要視すること
正しい管理を行なうためには、素早く正しい情報の把握が欠かせません。日々変化する状況に応じ、戦略も変化させなければならないからです。
パイプライン管理の仕組みを形作る際は、なるべく各営業マンの情報提供とマネージャーの情報把握がリアルタイムでできるように心がけましょう。
例えば「週1度、メールで進捗を報告」などのやり方では、「今日」の情報が手に入りませんし、メールの誤送信、送り忘れといったことも発生しがちです。
情報を共有すること
上記のようなリアルタイムの状況は、チーム内で共有しましょう。
パイプライン管理は、マネージャーと営業マン双方で活用することでその効果が最大化します。
営業プロセスごとのリアルタイムの進捗状況という情報には非常に高い価値があり、社内の様々な立場の人ごとに、それぞれ活用のしかたが必ずあるのです。
ITツールを導入すること
上記2つのポイントをご紹介しましたが、両方をスムーズに実践するのはなかなかに難しいものです。
そこで本稿ではパイプライン管理を行なうに当たり、ITツールの導入をおすすめします。
企業向けのPC用ITツールには様々なジャンルがありますが、特にパイプライン管理において有用なのはSFAと呼ばれるジャンルの商品です。
SFAは日本語で営業支援システムとも呼ばれ、企業の営業部門の業務を自動化・効率化するための様々な機能を搭載しています。
特に営業マンの行動や商談の進捗を管理する優れた機能を搭載したものが多く、パイプライン管理にはピッタリのツールであると言えます。
パイプライン管理なら『Knowledge Suite』
さて、前章でITツールの導入をおすすめしましたが、ITツールの導入経験の浅い企業様では、いったいどんなツールを導入すればいいのか迷ってしまわれることでしょう。
そこで最後に、本稿で自信を持っておすすめできるツールをご紹介しておきます。
それは私たちブルーテック株式会社が提供する、『Knowledge Suite』です。
『Knowledge Suite』は、SFAはもちろん、名刺管理やメールの一括配信機能もワンセットになった総合ビジネスアプリケーションです。
PCアプリケーションに不慣れな方でも必ず使いこなせるシンプル設計がポイントで、しかも何人で使っても月額利用料金が定額のユーザー数無制限のためコストパフォーマンスも抜群。
すべての機能がインターネットを通じて提供されるクラウド型サービスなので、パイプライン管理で重要なリアルタイムでの情報共有にもめっぽう強いのが特長です。
初めてパイプライン管理を始めようという企業様にこそぜひおすすめしたい『Knowledge Suite』の導入を、ぜひご検討ください。
~『Knowledge Suite』の特長~
■何人で使っても月額料金は固定の「ユーザー数無制限」!だからチーム全員から多数の情報を収集できる!
■シンプル操作だから誰でも使いこなせる!だから日々の報告が苦にならず、リアルタイムな情報収集が可能!
■3つのビジネスアプリケーションがワンパックに!だからパイプライン管理を多角的にサポートし、さらなる効率アップを実現できます!
■情報の共有・蓄積・リアルタイム性に長けたクラウドサービス!だからパイプライン管理の効果を確実なものにできます!
■スマートフォン・タブレットでも使える!だから営業活動のムダを徹底排除できます!
まとめ
本稿では「パイプライン管理」をテーマに、その基礎知識や取り組む際の注意点をお伝えしてきました。
最後に本稿の内容を簡単におさらいしておきましょう。
「パイプライン管理」とは営業業務をプロセスで分解・可視化することでボトルネックを発見し、その対策を実践していくことを目的とした営業チームの管理手法です。
パイプラインを実践することで、下記のようなメリット・デメリットが発生します。
~マネージャーのメリット~
・中長期的視点での予測が可能に
・営業マン1人1人の行動を可視化
・営業マンの育成に有効
~営業マンのメリット~
・自分の活動を客観的に分析できる
・目標と達成のための手段が明らかに
~デメリット~
・データ入力作業が付き物
・ネガティブなポイントに目が行きがち
パイプラインを始めるためには、以下のような手順を踏むことになります。
・STEP1 商談プロセスの定義
・STEP2 各商談プロセスの「クリア条件」を設定
・STEP3 現状の案件を各プロセスに当てはめる
・STEP4 各プロセスの分析
パイプライン管理を実践する時には、こんなポイントに注意してください。
・リアルタイム性を重要視すること
・情報を共有すること
・ITツールを導入すること
いかがでしたでしょうか。
チームの管理に課題を感じられているマネージャーの皆様にとって、本稿が何らかのヒントになっていれば幸いです。
本稿をお読みになりパイプライン管理を実践してみようと考えられた方は、併せてぜひ『Knowledge Suite』の導入もご検討ください。
初めての方でも使いやすく、低コストで運用できる、パイプライン管理に最適なツールです。
最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。
【執筆者】
松岡 禄大朗