ホワイトペーパーとは?書き方や活用方法をご紹介
特にBtoB領域のマーケティング施策として、ここ数年来活発に行なわれているのが「ホワイトペーパー」の制作です。
特に対面営業が困難になり、新規顧客の獲得に課題を抱える企業が多くなったコロナ禍以降、その存在価値はますます大きくなっています。
本稿ではホワイトペーパーをテーマとし、その基礎知識や制作方法などをご紹介していきます。
「ホワイトペーパーって何?」という初心者の方にも分かりやすく、イチから解説していきますので、どうぞお気軽にお読みください。
最後までお読みいただければ、ホワイトペーパーから得られる効果や活用法の基本がしっかり身に付くはずです。
【この記事の目次】
ホワイトペーパーとは?
まずはホワイトペーパーという言葉の意味をおさらいしておきましょう。
元々、一般的にホワイトペーパーとは「白書」…つまり政府が作成する実況報告書を指す言葉です。
しかし近年のビジネス業界でホワイトペーパーと言えば、主に企業サイトから誰でもダウンロードできる読み物や資料を配布するマーケティング施策のことを指します。
ホワイトペーパーはビジネスや生活に役立つちょっとした情報や、人々が広く興味関心を持つ題材でまとめられた小冊子であり、多くはPDF形式で企業が無料配布しています。
本稿をお読みのあなたも、もしかするとWeb上で「2020年度のビジネス業界最新分析データを無料配布中!」「Google広告のノウハウが分かる解説書を無料でダウンロードできます!」…などという宣伝を見たことがあるかもしれません。
BtoBビジネスの領域…とりわけIT業界では長年にわたりこうしたホワイトペーパーを配布してきました。
もちろん、どの企業も慈善事業でホワイトペーパーを配布しているわけではなく、そこにビジネスチャンスを見据えています。
ではホワイトペーパーを制作し、配布することは企業にとってどんなメリットがあるのでしょうか?
次章ではホワイトペーパー配布によって得られる効果をご紹介します。
ホワイトペーパーの効果
ホワイトペーパーを制作し、配布するにはそれなりの時間もコストもかかります。
なぜ企業はそうまでしてホワイトペーパーを配布するのでしょうか。
それは、ホワイトペーパー配布により以下のような効果を得られるからです。
リード情報の獲得
これが最も大きな効果です。
通常、ホワイトペーパーの内容は配布企業が展開するサービスや商品に、何らかの形で関係するテーマで書かれています。
そして読み手側はダウンロードに際して氏名や会社名、メールアドレス等の入力を求められることが普通です。
配布企業はこうして自社商品にまつわるテーマに関心を持つ人々の情報をリード(見込み客)情報として管理し、マーケティングや営業の活動に役立てています。
リードナーチャリングの効果
「ナーチャリング」とは「育成」という意味で、「リードナーチャリング」は単なる見込み客を正式な顧客、あるいは自社ファンの立場まで育成することを言います。
ホワイトペーパーを読んだ人は、そこに書かれている情報を読むことでリテラシーレベルが少し上昇するでしょう。
またそうしたお得な情報を無料で手に入れたことで、配布企業に対して少し興味関心が沸き、好感度も上がるかもしれません。
こうした小さな心の動きを能動的に起こすことがマーケティングの成果につながるわけです。
商談時の営業効果
作成したホワイトペーパーはダウンロード配布のみならず、営業マンが商談の時に商品資料として持参してもかまわないわけです。
商品を利用するメリットや利用の実例などがホワイトペーパーにまとめられていれば、商談相手にとっては分かりやすい資料となり、営業マンにとっても手際よく商品説明ができるツールとなって成約の確度が上昇する可能性があります。
ホワイトペーパーの種類
一口にホワイトペーパーと言っても、その内容には様々な種類があります。
下記に代表的な5種をご紹介しておきます。
自社の商品にはどれが向いているか、考えてみてください。
課題解決法/テクニックの伝授
企業や組織、また企業で働く個人にとってビジネス上の課題となりやすい事柄を取り上げ、その解決法を提示する…、または業務に関するテクニックを解説し、そのノウハウを読み手に伝授する…といった内容です。
例えば「売上の伸び悩みに効く解決策」「商談成功のためのテクニック」…などのテーマがこれにあたり、ホワイトペーパーでは定番のジャンルです。
当然ながら手当たり次第にどんな課題、テクニックでも取り上げて良いわけではなく、少しでも自社商品に関連した、自社のメリットにつながる内容でなければなりません。
事例紹介
自社の商品、サービスを実際に利用している人たちの生の声を集めてまとめるホワイトペーパーです。
現場の使用感や、利用することのメリットがユーザーの観点で語られるため理解しやすく、商品購入を検討している人にとっては良い判断材料になります。
逆に、ある程度商品に興味を持っている人にしか読まれないというデメリットもあります。
ビジネス最新情報
日々忙しいビジネスマンがなかなか収集しきれない、ビジネス業界のトレンド情報やビジネス用語をまとめて伝えるホワイトペーパーです。
正しい情報をどこよりも早く伝えることができれば、自社への信頼感を得ることもできます。
レポート/アンケート結果
自社が行なった調査やアンケートのレポートをまとめたホワイトペーパーです。
独自性の高い情報を提供することができ、多くの人が関心を持つ題材を選ぶことができれば多くのダウンロードを見込めます。
一方で調査やアンケート、またそれらの集計にはそれなりの時間的・経済的コストがかかります。
その他
ホワイトペーパーの内容には特に決まりがあるわけではないので、そのレパートリーは無数にあると言えます。
ここまでに紹介した以外にも、例えば自社が行なったイベントや展示会の報告レポート、また自社のセミナーでレジュメとして利用された資料をそのまま配布したり、自社製品の商談用プレゼン資料をそのまま配布するようなパターンもあります。
ホワイトペーパーの書き方
つづいて、ホワイトペーパーを作成する際の手順についてご紹介しましょう。
ケースによって多少の違いはあれど、多くのホワイトペーパーは下記のような手順で作成されます。
文章が得意な人であれば自分で作成することができるでしょう。外部の制作会社やフリーのライター、デザイナーに依頼するケースも一般的です。
(1)ターゲットの設定
まずは誰に向けて書くものかを明確に設定しましょう。
多くの場合、それはホワイトペーパーを使って訴求したい自社商品のターゲットと同じはずです。
ホワイトペーパーを読む人がどんな業種にいる人で、どのような年齢層、性別、立場なのか…など、なるべく詳細にペルソナをイメージすると、後々まで制作作業がしやすくなります。
(2)内容の決定
つづいて、肝心なホワイトペーパーの内容を決めなければなりません。
(1)で設定したターゲットをヒントに、そうした人々が求めるであろう情報をシミュレートしてみましょう。
前章でご紹介した、ホワイトペーパーの種類も参考にしてみてください。
(3)構成を決定
どのような序文で始まり、どのように展開していくか、大まかにホワイトペーパーの構成を考えておきましょう。
ここである程度のページ数も想定しておくべきです。
あまり短かすぎても読み手に満足感を与えられず、あまり長すぎても途中で飽きられてしまいます。
一般的に全体で6~20ページ程度が目安と考えておきましょう。
(4)テキストを作る
(3)で決定した構成に基づき、テキストを作成していきます。
誰が読んでも理解できるよう、専門用語などの使用は控え、分かりやすい文章で書くことがポイントです。
文章に則した図表やグラフなども合間にはさむと、より読みやすいホワイトペーパーになります。
(5)デザインを作成する
最後は見た目を飾り付ける作業です。
パワーポイントなどのアプリを使って自分でデザインするか、プロのレイアウトデザイナーに依頼します。
ホワイトペーパーのよくあるテンプレート
前章で大まかな作成方法はご紹介しましたが、いざ作るとなるとなかなか難しいものです。
そこで、本章ではホワイトペーパーの定番のテンプレートについてご紹介しましょう。
特に前章(3)で説明した「構成」に関しては、以下のような流れで形作られているものがほとんどです。
「構成がうまく考えられない…」という方は、こちらを参考にしてみてください。
(1)表紙
表紙は第一印象を決定づけるものです。
自社の企業イメージやホワイトペーパーの内容を踏まえながら、きれいにデザインしましょう。
もしデザインの経験がなく、作業に自信がない場合、粗末なものを配布するよりはプロに依頼した方が得策です。
また、ホワイトペーパーのタイトルについても「ダウンロードしたい」と思わせるような工夫が必要です。
誰に向けたホワイトペーパーなのかを明確にしたり、読むことによって得られるメリットを明確にするのが良いでしょう。
(2)ホワイトペーパーの目的・狙い
表紙をめくって本文の冒頭に掲載されるのは、このホワイトペーパーの目的や狙いの説明です。
読み始める前にこれらを知っておいてもらうことで、全体のポイントが分かりやすくなります。
(3)目次
目次は読みたい部分をすぐに検索するためのツールである一方、ホワイトペーパーの概要を俯瞰できる一覧表でもあります。
目次を見ただけでこのホワイトペーパーを読むか読まないかを決める人もいるので、各章のタイトルが分かりやすく内容を示しているかどうか確認しておきましょう。
(4)本文
ここからがいよいよ本文の始まりです。
よく物語の流れを「起承転結」という言葉で表すのと同じように、例えば課題解決型のホワイトペーパーは下記のような流れをたどるのが一般的です。
・課題の確認
本ホワイトペーパーで取り上げるのは、どのような課題なのかを改めて具体的に説明し、書き手と読み手の認識をすり合わせます。
・課題の分析
課題はなぜ課題として存在するのか? その直接的・間接的原因を紐解きます。
・課題の解決方法
その課題はどうすれば解決できるのか、なるべく誰にでも実践できる現実的な方法で提示します。
(5)自社・自社商品概要
最後に社名、所在地、電話番号、業務内容など自社の基本情報を示すことで制作企業の身元を明らかにしておく必要があります。
併せて自社で提供している商品・サービスの紹介もしておきましょう。
前章(4)の「課題の解決方法」と紐づけ、解決方法の1つとして自社商品を紹介するのがよくあるやり方です。
(6)問い合わせ先
自社や自社商品に興味を持った人々のために、問い合わせ先の電話番号やメールアドレスも明らかにしておくべきです。
実はホワイトペーパーという施策の核とも言えるのがのページなので、目立つように、また分かりやすく問い合わせ先を提示しましょう。
また併せて営業時間を記載するなど、読み手が問い合わせをしやすくする工夫も必要です。
ホワイトペーパー活用のステップ
作成したホワイトペーパーの活用法についてご紹介しましょう。
多くの場合、ホワイトペーパーはPDFファイル化し、自社の商品サイトでダウンロードができるように設置されます。
その際、読み手側が自分の氏名や会社名、メールアドレスなどを登録するためのダウンロードフォームもセットで準備しなければリード情報が獲得できないので注意してください。
以上が最小限のパターンと考えましょう。
加えてこのホワイトペーパーにより多くの人を誘導するため、ホワイトペーパー公開を告知するメールマガジンを配布したり、SNSでメッセージを発信するのもよく用いられる方法です。
また現在、様々な企業のホワイトペーパーを配信する専門のサイトもいくつか存在しています。
出稿コストはかかりますが、こうしたサイトに掲載して多くのユーザーを集客してもらうのも1つの手でしょう。
こうして手に入れたリード情報を管理する手段も用意しておく必要があります。
Excelなどの表計算ソフトで管理するのもよいですが、より精密な管理とアプローチを実現し、成果に結び付けたいのであれば、CRM(顧客管理システム)の利用をおすすめします。
CRMについては後ほど詳しくご説明します。
ホワイトペーパーでよくある失敗
基本的にホワイトペーパーの内容は自由ですが、注意しなければ読み手に敬遠されてしまったり、うまく成果が上げられないポイントもあります。
ホワイトペーパー制作にあたって一般的に下記のような失敗事例が多いようですので、これらに注意しながら制作してください。
■文章が読みにくい
専門用語が多すぎて理解が難しい、課題と解決策がかみ合っていない…などの他、単純に文章が乱れている、長すぎる…といった根本的な部分で読みにくいホワイトペーパーになってはいないでしょうか?
作成した文章は必ず誰か他の人に読んでもらい、感想を聞くようにしましょう。
また、そもそも文章を書くことに苦手意識を持っている人は、外部の企業やフリーライターに文章制作を依頼するのも有効です。
■商売っ気が強すぎる
もちろん、ホワイトペーパーはビジネスで成果を上げるために各社が制作するものです。
しかしそれはあくまで作り手側の事情であり、読み手側にはやはり「自分が持っている課題をホワイトペーパーで解決したい」という思いが念頭にあります。
そこへ「商品を買え」「Webサイトを見ろ」「問い合わせをしろ」といった押し付けがましいアピールばかりをしすぎると、読み手にそっぽを向かれてしまいます。
それでは本末転倒でしょう。
あくまで読み手の課題解決や情報の提供などを第一に考え、商品PRはそれに付随する「提案の1つ」程度にとどめるのが無難です。
■全体に「流れ」がない
ホワイトペーパー全体の構成や流れを効果的に作るのはプロでも難しいことです。
言いたいことが多すぎるあまりバラバラな切り張りのようになってしまい、一本の筋道が通っていないため支離滅裂なホワイトペーパーもあります。
掲載する内容が多すぎるようなら最低限に絞って、読みやすく分かりやすい一本道の構成を心がけましょう。
ホワイトペーパーで獲得したユーザーはCRMとセットで考える
もしあなたが作ったホワイトペーパーが多くの人に興味を持ってもらえた場合、多くのダウンロードが発生し、多くのリード情報を獲得することができるでしょう。
しかし、どれだけたくさんのリード情報が手に入ったところで、それを十分に活かすことができなければ宝の持ち腐れになってしまいます。
リード情報は正しく管理し、ナーチャリング(育成)しなければ意味がありません。
しかし多くの企業では手に入れたリード情報をExcelなどの表計算ソフトに入力し、そのまま放置…という状態になっているようです。
営業部門もマーケティング部門もたくさんの仕事を抱えているため、そうなってしまうのも当然かもしれません。
そこで本稿では、ITツールの活用をおすすめします。
中でもリード情報の管理と言えば多くの企業で導入されているのがCRMです。
CRMは「Customer Relationship Management(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)」の略で、「顧客管理システム」などとも呼ばれるPC用アプリケーションの1ジャンルです。
その名のとおり企業が持つ顧客情報をまとめて管理するためのツールで、顧客の氏名や電話番号、所属部署や職位…といった基本情報の他、過去の商談の履歴、成約確度、リクエスト内容…など、顧客との関係性までも記録・管理することができます。
またこうした情報は部署内にリアルタイムで共有され、チーム全員が最新のデータや事例に基づいて営業/マーケティング活動を迅速に、正確に行なうことができます。
顧客の情報を一元管理することでデータの入力・閲覧がスムーズにでき、また条件別に顧客情報を抽出したり、次にアプローチすべき顧客を明示してくれるなど、業務を自動化できる面もあるので、忙しい部署でこそ使いやすいツールです。
CRMなら『Knowledge Suite』
前章では、ホワイトペーパーで入手したリード情報を管理するツールとして、CRMの活用をおすすめしました。
CRMは近年導入社数をどんどん伸ばしており、その種類も非常に豊富です。
初めての導入では、どのCRMを選べばいいのか迷ってしまう方も多いことでしょう。
そこで、本稿がおすすめする1本のCRMをご紹介します。
それは、私たちブルーテック株式会社が提供する『Knowledge Suite』です。
『Knowledge Suite』はCRMとして十分な機能を備えていることはもちろん、加えてSFA(Sales Force Automation)…つまり「営業支援システム」の機能も同時にお使いいただくことができる、総合ビジネスアプリケーションです。
『Knowledge Suite』なら、とにかく簡単な操作と見やすい画面で、普段PCに慣れていない方にも十分に使いこなしていただけます。
加えて何名でお使いいただいても月額料金は定額で、人数を気にせず社の全員でお使いいただけることで、情報の蓄積と活用の活性化を実現します。
また、インターネットを通じてサービスが提供されるクラウドサービスのため情報共有性もバツグン。
スマートフォン、タブレット等の携帯端末でもご利用いただけ、いつでもどこでも最新の顧客情報にアクセスすることができます。
まとめ
本稿ではマーケティング施策の1つである「ホワイトペーパー」をテーマとし、その基礎知識や運用のポイントをお伝えしてきました。
最後に本稿で述べた内容を改めておさらいしておきます。
まずホワイトペーパーとは、読み物や資料を作成し、配布するというマーケティング施策です。
ホワイトペーパーを配布する目的や効果には以下のようなものがあります。
~ホワイトペーパーの効果~
■リード情報の獲得
■リードナーチャリングの効果
■商談時の営業効果
ホワイトペーパーの内容は自由ですが、一般的なものを大別すると以下のような種類があります。
~ホワイトペーパーの種類~
■課題解決法/テクニックの伝授
■事例紹介
■ビジネス最新情報
■レポート/アンケート結果
■その他
ホワイトペーパーを作成する際は以下のような手順が踏まれることがほとんどです。
~ホワイトペーパーの書き方~
(1)ターゲットの設定
(2)内容の決定
(3)構成を決定
(4)テキストを作る
(5)デザインを作成する
全体の構成については、多くのホワイトペーパーが下記のような流れを採用していますので参考にしてください。
~ホワイトペーパーのよくあるテンプレート~
(1)表紙
(2)ホワイトペーパーの目的・狙い
(3)目次
(4)本文
(5)自社・自社商品概要
(6)問い合わせ先
ホワイトペーパーはただ公開して終わりではなく、メールやSNSで多くの人に訴求したり、収集したリード情報はCRMを使って管理するなど、しっかり活用する必要があります。
CRMとは「顧客管理システム」と呼ばれる、リード情報の活用に最適なPCアプリケーションの1ジャンルです。
また、ホワイトペーパー制作においてよく陥りがちな失敗が下記のようなものです。
これらを意識し、対策を心がけてください。
~ホワイトペーパーでよくある失敗~
■文章が読みにくい
■商売っ気が強すぎる
■全体に「流れ」がない
ホワイトペーパーについて、理解が深まりましたか?
新たなマーケティング戦略に挑戦したいという企業の皆様、ホワイトペーパーを始めてみてはいかがでしょうか。
その際はリード情報の活用のため、ユーザー数無制限・誰にでも使いやすい『Knowledge Suite』の導入も併せてご検討ください。
最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。
【執筆者】
松岡 禄大朗