「情報共有」はチームで行う仕事を円滑に進める上で最も基本的なことです。多くのビジネスマンは当たり前にやっていると思いますし、ほとんどの方は「自分は情報共有をしっかりできている!」と考えているのではないでしょうか?
しかし、いまだに多くの企業で社内の情報共有が課題とされているのも事実です。ここ数年で情報共有のためのITソリューションが数多くリリースされたこともその需要の高さを表しています。
そこで、本稿では改めて情報共有の必要性について解説するとともに、なぜ多くの企業で情報共有を課題としているのか、良い情報共有のやり方とは何か、そして情報共有に役立つオススメの情報共有ツールを紹介いたします。
【この記事の内容】
会社における「情報共有」とは各社員の業務の進捗状況や成果のみならず、業務に関するノウハウや営業であればお得意様のステータスなどを業務の関係者や後任に共有することを指します。情報共有によって、社員間の連携がより密になり、業務効率の向上や業務の属人化の防止、トラブルの予防にも役立ちます。
情報共有が大切という価値観は深く日本社会に根付いていますが、なぜ情報共有が大切なのかを考える機会はそこまで多くはないでしょう。ここで、改めてビジネスにおける情報共有の必要性について確認しておきます。
例えば、一般的な企業における情報伝達として、管理職⇔上司⇔担当者という流れがあると思いますが、これは情報共有とは言えません。こういった伝言ゲームのような情報伝達では、情報を手に入れた人が、自分なりに情報を整理した上で次の人に情報を伝えようとします。
そういったプロセスを踏むことで情報に主観が混じり一次情報とは異なった意図で人に伝わってしまうことが少なからずあります。こういった誤った情報伝達はミスの原因となりますし、情報の伝達スピードも遅くなります。これらを防ぐために情報共有が必要となります。
情報共有とは一つの情報を「正確に」「時間差なく」「さまざまな立場の人」に提供することが大切で、各人がお互いの業務を把握し合うことで様々なメリットを得られるようになります。
参考:ナレッジマネジメントとは?テレワーク時代の情報共有の重要性
参考:情報の一元化とは?一元化することのメリットやツールをご紹介
では情報共有のメリットにはどのようなものがあるでしょうか。
業務の効率的な進め方といったノウハウは社員それぞれが保持しています。社内で情報共有がスムーズに行われることで、そういった社員がため込んでいるノウハウが社内全体に伝わります。このようなノウハウを共有することで、業務経験やスキルが少ない社員でも業務を効率的に進めやすくなり、会社全体の生産性を高められます。
情報共有が十分に行われていると、業務に必要な情報や資料をすぐに入手できます。どこにどのような資料があるのか明確に分かれば、例えば業務の引き継ぎにかける時間を短縮できるのは大きなメリットです。前任者や管理者はマンツーマンで伝達する時間が少なく済み、業務を引き継ぐ社員は仕事内容が把握しやすくなります。引き継ぎにかけていた時間を他の仕事に振り分けられるので、生産性のアップにもつながるでしょう。
また、新入社員への知識や情報の伝達も、スムーズにできて時間短縮になります。新入社員が入社するたびに長期間の研修をする必要もありません。マニュアルを作成して情報共有しておけば、同じような質問が繰り返されることも少なくなり、先輩社員の時間をより有効に使えるようになるでしょう。
社内での情報共有が円滑にできると、社内全体が持つ知識を底上げできます。全社員の知識を社内で共有できれば、個人では得られない貴重なノウハウを活用できるようになるでしょう。
社員が業務から得たノウハウは、情報を共有しなければその人だけのものになってしまいます。情報共有をスムーズにしておけば、各社員から集まった豊富な経験や知識を、各自で業務に活かせるようになります。ノウハウの共有はひとりひとりの知識が増えることにつながり、全体的な知識も増えて効率化や生産性の向上も期待できます。
個人で得られる情報には限りがあります。円滑な情報共有で他の社員の知識を活用できるようになることで、大幅な業務効率の向上が見込めるでしょう。
情報共有により受けられる恩恵には計り知れないものがあります。
やらない理由はないと思えるほどですが、現実問題として情報共有を課題としている企業が多くあります。そこで本項では情報共有の無い職場の特徴を大きく3つに分けてご紹介します。
もし今、自社の情報共有が不十分だと感じているのなら、情報共有が定着しない職場がどんなものかを知ることで、改善策が自ずと明らかになるかもしれません。
部署同士が独立している状態とは、いわゆる縦割り組織とも呼ばれ、「営業」や「生産・開発」、「マーケティング」といった部署ごとの独立性が強く、お互いの部署間で協力体制が希薄になっている状態を指します。
この傾向は社員数が数百人以上いる中規模以上の企業によく見られ、単にかかわりが薄いという理由から情報が共有されないことが多々あります。
しかし、一見自分の業務に関係ないと思えるような情報やノウハウが自分の仕事で活かされる可能性も高く、こういった組織形態はかなりの機会損失を生んでいると言えます。
情報共有されない職場にはそもそもどんな情報を共有すべきか社員が分かっていないケースがあります。どんな情報を共有するべきなのか基本的なルールが策定されていなかったり、社内掲示板、定期ミーティングなど情報を共有する場がなかったりすると、そもそも社内に情報共有という文化が根付く余地がありません。
情報共有する際には、当たり前ですが必ずメールや口頭で他者とコミュニケーションを取る必要があります。情報共有は些細なことでも「頻繁に」「気軽に」行えることが必須と言えます。コミュニケーションが皆無な職場や高圧的な上司や同僚が多い職場では声もかけづらい上、最悪の場合には周りから叱責されることを恐れる余り、ミスが報告されないなどの危険性が考えられます。
さて、先ほどは情報共有の無い職場の特徴を紹介しましたが、こういった職場に情報共有を定着させるためにはどんなやり方があるでしょうか。いくつか効果的なものを紹介します。
最も大切なのは、情報共有の意義や目的を社内へ浸透させることです。
社員全員に積極的に情報共有させるには、情報共有そのものを社内のカルチャーとして、根づかせる必要があります。
例えば、経験によって得たノウハウを独占することで、他者との評価に差をつけて優位に立とうとするカルチャーを持つ企業は少なくありません。こういった会社の風土そのものが情報共有の推進を阻害していることも多々あります。情報共有するメリットを理解して、進んで実践してもらえるよう研修やミーティングで全社的に重要性を伝えていく必要があります。
理想としては、社員それぞれが有益な情報を自発的に共有し続ける環境であればいいですが、通常業務に追われている社員からしたらそんな余裕はありません。そこで情報共有の仕組みづくりが必要となります。
例えば、どういうタイミングでどういった情報を共有するのか、全社を巻き込んで情報共有のルールやガイドラインを作りましょう。全社が難しいようであれば、部署内や近い部署間だけでスモールスタートし、ある程度PDCAを回してから段階的に情報共有の仕組みを導入していくやり方も有効です。
また、各人が持つ情報やノウハウはある意味ではその人の持つ財産のようなもので、何のメリットもなしに共有したがる人は残念ながら多くはありません。しかし、情報共有を積極的に行った人を評価する制度を作っておくことで、情報共有のモチベーション向上にも繋がることでしょう。
一般的な情報共有の手段としてメールや電話、対面でのコミュニケーションが主となりますが、より情報を効率的に共有し業務に活かすためには、情報をデータベースとして蓄積して一括管理し誰もが適切に利用できる仕組みをつくる必要があります。
そこで役立つのが情報共有ツールです。代表的なツールとして、チャットツールや社内SNS、WEBデータベースなどが挙げられますが、とりあえず導入すればいいというわけではなく、会社の規模や業務内容に合った情報共有ツールを選ぶ必要があります。
また、こういったITツールは高機能で操作方法が複雑という場合も多々あるので、職場に定着するまでは、社内の誰かがツール導入担当者となって継続的に利用方法を社員に教育したり、操作や運用に関する質問に答えるなど社員の利用をサポートしていく必要があります。
おすすめの情報共有ツールを紹介する前に、情報共有ツールを選ぶ際に留意しておくべきポイント3つを紹介します。
先ほども述べた通り。情報共有ツールには主に、チャットやファイルの共有・スケジュール管理・タスク管理などの様々な機能がありますが、会社の状況によって必要とする機能もあればそうでないものもあるでしょう。
ツールごとに搭載している機能や得意分野も大きく異なりますので、情報共有ツールを利用する目的や、情報共有ツールを導入してどういうことをしたいのかをあらかじめ明確にしておく必要があります。
情報共有ツールは主に利用者数に比例して費用が増減します。そのため、導入前に自社の利用規模がどれぐらいになるかをあらかじめチェックし、利用人数が思った以上にかさんでしまったということが無いよう注意しましょう。無料プランが用意されている情報共有ツールの場合、どの範囲の利用までが無料なのかを必ず事前にチェックしておきましょう。
ツールの中には高機能で複雑なものもあれば、その逆もあります。自社のITリテラシーがどれほどのものかをあらかじめ認識し、それに見合ったツールを選びましょう。特に年配の社員が多い企業では、ITツールの使用に抵抗感を持つ場合が多いので、定着にも時間がかかります。そういった場合は操作方法が単純なツールを導入したり、使用する機能を限定するなどの対策を取る必要があります。
情報共有を社内に根付かせるにはツールの導入が一番の近道と言えます。本項では目的別に有用な情報共有ツールを厳選して紹介いたしますので、導入の際の参考になれば幸いです。
URL:https://www.bluetec.co.jp/shelter/
『Shelter』はWEBブラウザ上でデータベースの作成や管理が行えるクラウドサービスです。情報やノウハウを蓄積するデータベースとしての役割のほかにも、タスク管理や問い合わせ管理など様々な業務に使用するアプリケーションをプログラミングの知識なしで作成できるため、社内で抱える課題に幅広く対応できます。
料金プラン(月額)
15,000円
※ユーザー数無制限
特長
・ユーザー数無制限のため、利用人数が多いほどお得
・プログラミングの知識なしで自社の業務に合った業務アプリを自由に作れる
・詳細なアクセス権限設定で社内外を問わず気軽に情報共有ができる
URL:https://go.chatwork.com/ja/
『Chatwork』は30万社以上の導入社数を誇る国産のビジネスチャットツールです。
日本人になじみやすいシンプルなUIに定評があり、業務に関わりのある少人数での情報共有から、部署や会社単位でも効率的な情報共有が行えます。チャットとしての機能だけでなく、ファイル共有や期日と担当者を設定できるタスク管理機能、ビデオ通話機能など情報共有のために必要な機能は一通り揃っています。
料金プラン(月額)
・無料版※登録ユーザー数の制限有り
・500円/1名あたり(ビジネスプラン)
・800円/1名あたり(エンタープライズ)
特長
・UIがシンプルで使いやすい
・無料版でも十分な機能が使えるため、スモールスタートしやすい
・社内外でのコミュニケーションを一つのツールで完結できる
URL:https://www.box.com/ja-jp/home
『Box』は、世界で10万社以上が利用しているセキュリティ重視のクラウドストレージツールです。クラウドストレージツールとしては珍しく容量が無制限なので、容量を気にせずに多くのファイルを保管・共有できます。社内の情報をアップロードするなら、情報セキュリティを気にしたいところですが、『Box』は国際的な多くのセキュリティ規格をクリアしており、アメリカの国家機関が利用するほどセキュリティ面でも定評があります。
料金プラン(月額)
・523円/1名あたり(スターター)
・1,710円/1名あたり(ビジネス)
・2,850円/1名あたり(ビジネスプラス)
・4,200円/1名あたり(エンタープライズ)
特長
・利用容量が無制限
・国家機関が使うほどの高度なセキュリティ
・マルチデバイスでの利用が可能
URL:https://www.notion.so/ja-jp
『Notion』はタスク管理やプロジェクト管理だけでなく、データベースやドキュメント管理にもつかえるクラウドアプリケーションです。タスク管理としては、カレンダーやかんばん方式やガントチャートなど様々な方法で社員それぞれのタスクを把握できるほか、操作もドラッグ&ドロップが基本となっておりどんな人でも利用しやすいツールとなっています。また、様々な情報を管理できるため、社内情報のまとめWikiとしての使い方にも適しており、議事録やマニュアルなどの情報を保管・共有することも自由に行えます。
料金プラン(月額)
・無料版(個人利用のみ)
・4ドル/1名あたり(パーソナルPro)
・8ドル/1名あたり(チーム)
・別途お問い合わせ(エンタープライズ)
特長
・ドラッグ&ドロップで感覚的に操作ができる
・カスタマイズ性が高く自社に合った進捗管理や情報共有が行いやすい
・社内の情報を集積させるポータルサイトとしての使い方も可能
『aipo』はチームのスケジュール共有をメインとしたグループウェアです。各人の予定やタスクを一目で把握できるカレンダー機能はもちろん、設備予約やチャット機能もあるため基本的な情報共有はこのツールで完結できます。操作性やデザインも現代的かつシンプルで使いやすいため、ITに馴染みの無い社員でもすぐに使いこなせます。
利用料金も比較的安価で必要な機能に応じて料金が変動するので、スモールスタートしやすく中小企業での利用に適しています
料金プラン(月額)
・200円/1名あたり(日程調整+設備予約のみ)
・350円/1名あたり(日程調整+チャット)
・550円/1名あたり(上記に加え、ワークフローや社内掲示板機能etc)
特長
・UIがシンプルで使いやすい
・スケジュール管理とチャット機能の必要最低限の機能から安価で始められる
・必要に応じて機能を追加できる柔軟性
『Shelter』は今までExcelで行っていた情報共有や情報管理などの作業を全てクラウド上で統一化できるアプリケーションです。特別なITの知識を必要とせずに、社内に点在する様々な業務を効率化するアプリケーションが簡単に自作できる為、情報共有のみならず、タスク管理や人事管理、社内WiKiなど様々な活用が可能となっています。
何より何人で使用しても月額利用料は定額のため、社外の取引先やクライアントの方々も無料でユーザー登録していただけます。これから社内の情報共有化に挑戦したいという皆様はぜひ『Shelter』の導入をご検討ください。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
最後に、今回ご紹介した内容のまとめです。
情報共有には以下のようなメリットがありました。
・業務の効率化
・引き継ぎや研修期間の短縮
・社員全員の知識・スキルの底上げ
しかし、このように様々なメリットがあるにもかかわらず、少なくない企業が情報共有を課題としています。それには、人間関係の希薄さから社員間のコミュニケ―ションが少なくなっていることや社内で情報共有に関する仕組み作りが進んでいないという背景がありました。
そうした問題を抱えている企業に情報共有を定着させるためには以下のようなやり方があります。
・研修などで情報共有の大切さを社内に浸透させる
・情報共有のためのルールや仕組みを作る
・情報共有に役立つITツールを導入する
特にITツールの導入は今まで、EメールやExcel等を利用して行っていた情報共有を一気に効率化できます。ただ近年数多くの情報委共有ツールがリリースされ、導入を検討する際には下記のような点に注意してください。
・自社に必要な機能の有無
・費用が効果に見合うか
・使用する上で求められるITリテラシーレベル
情報共有に課題を抱えている場合はツールを導入することが一番の近道となります。導入を検討中の方は今回紹介したツールを参考に、自社にあうツールを探してみてください。