業務の属人化とは?起こる原因と解消方法を紹介

業務の属人化とは?

営業担当が変わったクライアントから「前任者の方がよかったのに…」というクレームが入った。そんな経験、自他問わず1度は見聞きしたことがあると思います。
こういった状況は、いわゆる「業務の属人化」によって起こっています。
テレワークにより、普段とは異なるコミュニケーションが主流になりつつある今日この頃ですが、この属人化という問題が改めて注目されるようになりました。そこで、本記事では属人化の原因とその解消方法について解説します。

属人化とは?

属人化とは?

属人化とは、特定の社員が担当する業務の詳細や進め方が、本人以外理解できていない状況を指しています。業務の属人化が発生すると担当社員がいなければ仕事が進められなくなってしまうため、ビジネスにおいて致命的な問題と言えます。
特に、近年では日本従来の雇用慣行であるメンバーシップ型雇用から、欧米的雇用慣行のジョブ型雇用に移行しつつあることで転職が一般化しており、人材の流動性が高まっています。こういった背景もあり、業務が1人の社員に依存している状態である属人化問題が注目を集め、多くの民間企業が属人化解消に向けて様々な取り組みを始めるようになりました。

属人化が起こる原因・メカニズム

属人化が起こる原因・メカニズム

属人化は業界や職種問わずビジネスシーンで普遍的に発生しうる問題です。少し前のデータですが、2017年に経産省が経団連関係企業249社にアンケートを取ったところ、長時間労働につながりやすい職場慣行として挙げられたもののうち、最も問題とされたのが「業務の属人化」でした。

労働時間等実態調査
※日本経済団体連合会2017年労働時間等実態調査 集計結果から引用

このデータから、多くの企業に属人化問題が発生していることがよくわかります、では、属人化とは何が原因で起こるのでしょうか?
主に4つの要因があります。

専門知識が必要なため対応できる人が限られる

業務を遂行するには高度なスキルや背景理解が必要なため、専門知識が必要な業務は属人化しやすい傾向があります。特に社員数の少ない中小企業などは代わりとなる人材が社内にいない場合もあり、専門的な知識を持つ社員に業務が集中してしまい長時間労働にも繋がりがちです。こういった問題を解消するには、専門知識を社内で共有する仕組みや、案件ごとの進捗や詳細を共有する仕組みづくりから始めなければなりません。

また、このようなスペシャリスト的スキルを要求する業務の属人化を好意的にとらえる傾向もありますが、社員同士が何の業務をやっているかわからない状況というのは、社内連携の機会や新たなビジネスチャンスを逃す可能性がありますので、たとえ高度なスキルが必要な業務だとしても、できる限り情報をオープンにした方が組織としてのメリットは大きくなるでしょう。

多忙で担当業務以外に手が回らない

担当者があまりの多忙ゆえに、マニュアル等を作成する時間が取れない場合も属人化しやすいでしょう。特に先ほども述べたように専門知識が必要な業務の場合、担当者に仕事が集中しやすい傾向もある上、高度な知識はマニュアル化することができないため、社員へのしっかりとした教育が必要となります。なんにせよ業務に忙殺されている担当者は属人化解消に向けた業務に当てる時間的余裕がなく、負のスパイラルに陥りやすくなります。

属人化解消に向けた業務が評価されにくい

属人化を解消するためには、マニュアル作成や社内研修などでノウハウを共有しておく必要があります。しかし、こういった業務は直接的な業績上昇にはつながらないことから会社からの評価対象になり辛い傾向にあるため、ノウハウ共有のメリットを感じられないという場合も、属人化を加速させる原因となるでしょう。

また、属人化した業務はいうなれば、その人がいなければ会社が回らないということでもあり、社内における自分の地位を保証してくれる武器でもあります。そういった観点から見ても、自らの知識を共有するメリットがないと考える人は少なくありません。特に高度なスキルが必要なく、マニュアル化さえすれば他の社員でもできてしまうという業務の場合その傾向はより顕著でしょう。そのため、属人化解消に向けた業務にもしっかりとしたインセンティブを用意することが大切です。

属人化によって生じる問題

属人化によって生じる問題

属人化は特定の担当者に多くの業務が集中するため、様々な問題が起こりやすいのも事実です。そこで、属人化によって引き起こされる問題について具体的に紹介していきます。

長時間労働に繋がりやすい

少数の人員に業務が集中すると、担当者は大量の業務をこなすために時間外労働などが多数発生、長時間労働が常態化していきます。そうなってくると、いずれは担当者のメンタルヘルスの悪化や会社への満足度低下を招くようになり、最悪の場合、担当できる社員が突然の休職や退職をしてしまうなどのリスクが考えられます。

そして、後に残るのは誰も対応することができない、完全にブラックボックス化した業務です。担当者の行っていた業務次第では、自社のサービスや売上に直接影響してくる深刻な問題になり得るでしょう。

退職で貴重なノウハウが失われる

特に高度なスキルが必要な業務に当てはまることですが、属人化されている業務のノウハウはあくまでも担当した個人が理解しているのみで、会社や他の社員は知る由もありません。つまり、そういったノウハウを持つ社員が、今まで培ってきた経験や知識を会社に共有せずに辞めてしまうことは会社の貴重な財産を失うのと同じと言えるでしょう。

社内の風通しが悪くなる

社内の風通しとはつまり、社員同士や部門間でのコミュニケーション量を指しています。属人化が進むと、社内でのコミュニケーション量が低下する傾向にあります。なぜかというと、属人化した業務は他者から見れば詳細が全く分からないので、提案やアドバイスなどのコミュニケーションが発生し辛いからです。

その結果、担当社員が実は非効率なやり方をしている場合や、ミスが起きていた場合も発覚が遅れて、結果的に社内の雰囲気も悪化するという負の連鎖に陥りがちです。最近は、テレワークの普及で「誰が何をやっているか」が分からないという問題が顕在化するようになりました。いかにして社内のコミュニケーションを活発化させるかを考えることも属人化を解消する上で大切だと言えるでしょう。

業務の品質管理ができない

属人化した業務は、成果物の品質管理ができません。というのも、属人化している業務の詳細は担当者にしか分からない為、担当者が質の良い業務をしているのかどうかさえ、外部からはまったく判断がつかないからです。周りの社員はもちろん、直属の上司も担当者の成果物をどう評価すればいいかわかりません。

もし何らかの理由により、担当者以外の他社員が対応した場合、業務の進め方すら共有されていない社員が取り組むことで、普段の成果物と同レベルの品質を担保できない可能性があります。時には作業のやり直しが発生し、結果として業務効率の低下を招くことになるでしょう。さらに、他の社員が判断できない環境であるために、ミスが発生しても担当者が隠蔽すればだれも気付けないというリスクにも注意を払うべきでしょう。

テレワーク時代の属人化

テレワーク時代の属人化

テレワークが社会に浸透してしばらく経ちましたが、実はテレワークには属人化を加速させる要因があります。それは社員同士のコミュニケーション不足です。テレワークでは社員ひとりひとりが離れたところで勤務するため、コミュニケーション不足が起こりやすいと言われています。特にオンラインの環境だと気軽な雑談といったコミュニケーションが発生しないという意見はよく聞かれます。
事実として、日本労働組合総連合会(連合)がテレワーク実施者1000名以上にアンケートを取ったところ約38%が「上司、同僚とのコミュニケーションが不足する」ことをデメリットとして挙げました。

テレワークに関する調査2020
※テレワークに関する調査2020 - 日本労働組合総連合会から引用

コミュニケーションが不足すればいうまでもなく、業務情報の伝達もおろそかになるため業務の属人化が加速するでしょう。また、テレワークでは、労働時間の管理が困難になるという問題があります。属人化が発生すると、担当者へ負荷が集中しやすくなることは説明したと思いますが、テレワークだと担当者がどれほど働いているかが見え辛いため、無駄な業務を削減したり、業務の一部を他社へ振り分けるなどの対策をすることが難しく、属人化リスクがより発覚しづらくなるのです。

テレワーク時代では、直接オフィスで顔を合わせる機会が以前より少なくなった分、オンラインチャットツールなどを積極的に活用して、密なコミュニケーションを取っていく必要があります。

属人化を解消するためのステップ

テレワーク時代の属人化

ここまで属人化の原因や、属人化によって引き起こされる様々な問題について、説明してきました。属人化が良い方向に働く場合も少なからずありますが、デメリットの多さを考えるとなるべく早く解消した方がよさそうです。では、属人化はどうすれば解消できるのでしょうか。属人化の主な原因は、業務の高度さや、社員同士の風通しの悪さでした。
その観点から考えると、業務フローや情報共有の方法を見直し簡略化することで属人化は解消できるといえるでしょう。そこで本項では属人化解消法を4つのステップに分け順を追って解説します。

[Step1]業務の洗い出し

属人化した業務を見直すには、まず実際担当者がどんな業務をしているのかを知らなくてはいけません。表面的にチェックするだけでは分からないことが多いので、担当者に直接確認するプロセスが必要です。ヒアリングしたい箇所をあらかじめリストアップし、細かいタスクレベルから徹底的に洗い出します。洗い出した後は自ずと業務のどの部分が属人化しているのか分かることでしょう。

[Step2]業務のマニュアル化

業務の洗い出しが終わったら次は、マニュアル作成です。属人化している業務をマニュアルさえ見れば他の従業員も理解できる状態にする必要があります。そうはいっても、情報を網羅的に載せ、それさえ見ればすべて解決できるという完成度のマニュアルを作成するにはかなりの時間がかかります、まずはフローチャートなどをベースに、業務の一連の流れが分かるような簡単なマニュアルを作成します。あとは実際に業務を実行しながら、分かり辛い点は内容を付け足したり読みやすく編集したりといった風に、少しずつ完成度をあげていくやり方ならば無理なく作成できるでしょう。
もちろん、最終的には「その業務を知らない人がマニュアルを見るだけで完遂」できるレベルまで到達する必要があります。

[Step3]マニュアルを社内に浸透させ、運用する

マニュアルを作成した後は、それを社内に浸透させ業務をこなせる人員を増やさなければなりません。情報共有ツールを活用するなどして、いつでもどこでも作成したマニュアルやデータにアクセスできる状況を作ることが大切です。
また、属人化の解消とはすなわち個人にとってみれば、仕事を誰かに取られる=会社での立場を危うくするリスクのある行為だと改めて認識しなくてはなりません。
それを踏まえると、属人化解消が社員にとってのメリットになるような仕組み作りも忘れてはいけないのです。属人化解消の実績を人事評価の項目に付け加えたり、新しいスキル習得を促進できるような会社制度をしっかりと検討していく必要があります。

[Step4] PDCAを回す

一度施策を実行して、属人化が解消されたからと言って油断は禁物です。属人化は放置していると、またすぐに進行する上、業務フローは会社の状況や社会の状況が変わればいくらでも変化します。属人化の解消は継続的に取り組んでいきましょう。
また業務内容や規模にもよりますが、半年〜1年に1回の頻度で実際に業務を行っている現場社員にフローチャートやマニュアルを確認してもらい変更点があるかどうかチェックし、マニュアルが陳腐化しないようにPDCAサイクルを回していくことが大切です。

属人化を解消するなら『Shelter』

属人化を解消するなら『Shelter』

属人化の解消にはリアルタイムでの情報共有が不可欠となっています。多くの企業ではこういった情報共有をExcelやGoogleスプレッドシートに頼りがちだと思いますが、これらのツールは大きすぎる容量のデータを格納すると動作が重くなったり、リアルタイムでの更新がし辛いなどの問題点を抱えています。
そのため、属人化の解消には専用の情報共有ツールなどの活用をオススメしています。
属人化解消に適したツールを選ぶのなら下記のような機能を持つ物がよいでしょう。

・大容量のデータを格納できる。
・複数人で同時編集できる
・通知機能がある
・アクセス権限を設定できる
・スマホやPCなど複数のデバイスからアクセスできる。
・ITリテラシーの低い人でも使いこなせる

また、手前味噌ながら最適な情報共有ツールとして、当社のサービス『Shelter即効アプリシリーズ』を紹介します。『Shelter即効アプリシリーズ』は、上記で紹介した機能を全て備えたうえ、ユーザー数無制限で利用できるため、利用ユーザー数で課金されることが多い情報共有ツールの中では異例の「利用ユーザー数が多いほどお得に利用できる」という特長があります。

また、基本機能もさることながら、『Shelter即効アプリシリーズ』では、会社ごとの業務内容や用途に応じて、導入初日から”即効”で使いこなせるようにUIをカスタマイズしてから納品しているため、使いやすさという面でも最適です。
より詳しい情報は下記のサイトをご確認ください。

《『Shelter即効アプリシリーズ』公式サイト》

まとめ

まとめ

今回は、属人化の原因や属人化解消の方法を紹介しました。属人化の原因には様々なものがありますが、解消するためにやるべきことはそこまで変わりません。属人化解消のために最も重要なのは誰が何をしているのかを明らかにすることです。社員全体を巻き込んで継続的な取り組みをするのは簡単ではありませんが、社員同士のコミュニケーションが活発化したり、業務効率が上がったりと、属人化解消により得られるメリットは大きいです。ぜひ今回紹介したやり方を参考に社内環境を整えていきましょう。

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