公益財団法人 東京都医療保健協会 練馬総合病院 公益財団法人 東京都医療保健協会 練馬総合病院

※InCircle導入事例

公益財団法人 東京都医療保健協会 練馬総合病院
戦後まもなく創立されて以来、地域医療を支え続けている練馬総合病院様は時代ごとに最先端の設備を揃え、地域により良い医療を提供できる体制を構築してきました。また、電子カルテを導入するなど、いわゆる「業務のデジタル化」を医療業界の中でも早期から取り組んでおられます。今回その一環として、院内業務の更なる効率化を目指し、導入されたのがビジネスチャット『InCircle』です。

導入目的

  • PHSに代わる、職員間のより手軽なオンラインコミュニケーション手段の確保。
  • セキュリティの担保された閉域環境で確立されるコミュニケーション。

課題

  • 患者の個人情報や病状が含まれた業務連絡の効率が低下していた。
  • 電話がメインの連絡手段だったが、病院職員は医師をはじめ、外来診療や手術等、電話対応が不可能な時間が多く、コミュニケーションコストが発生していた。

導入効果

  • 職員の情報共有から、日常的なやり取りまで快適なコミュニケーション環境の実現。
  • 電子カルテをはじめとした、院内の既存システムとのAPI連携で業務全体の効率改善。

運用方法

  • 職員にスマートフォン端末を配布し、『InCircle』を導入。緊急性の高い連絡は電話を利用し、それに準ずる業務連絡には『InCircle』を活用。
  • 『InCircle』のAPIを使い、院内の他システムと連携。システム上で何らかのデータ送信や更新等があった場合、関係者に『InCircle』で通知が自動送信される仕組みを構築。

  • 「医療の質向上」その取り組みの一つとして
    選ばれたのがビジネスチャット

    はじめに皆様の病院における役割とミッションについてお聞かせいただけますでしょうか?
    飯田様 私は現在名誉院長という立場ですが、今回の『InCircle』導入を含めた情報関連の取り組みは、私が院長を務めていた時代から30年近く行っていまして、小谷野、佐藤、堀の三名が所属する情報・質管理部もその一環として設立した部署です。

    主に情報システムの開発・運用・保守を行っている部署であり、電子カルテシステム(以下電子カルテ)の導入も当院のような規模の病院としては国内でもかなり早い時期に導入しました。
    また、当院の理念として最も大事にしているのは、「自分たちにとっての第一のお客様は、「患者ではなく病院で働く職員だ」ということです。職員達がより働きやすい環境を構築することが出来れば、それは医療の品質向上、ひいては患者のため、地域のために繋がります。この考えのもと、情報システムにおいても万全の体制を構築しており、今回はその一環として『InCircle』を導入した次第です。
  • 個人情報を扱う電子カルテとの連携には、
    オンプレミス利用が可能なことは絶対条件

    『InCircle』のようなコミュニケーションツールを探し始めたきっかけと要件やこだわりを教えてください。
    堀様 きっかけとしては2023年の2月に、当院で導入していたナースコールシステムのリプレイスがありまして、それに伴い内線として使用していたPHSもスマートフォンに変更しました。そこで、「せっかくスマホを導入するのであれば、スマホで機能するコミュニケーションツールもほしい」という話になり、 導入検討を開始しました。

    要件についてですが、当院で使用している電子カルテと連携させたいというのが第一にありました。ほとんどの病院さんがそうだと思いますが、基本的に電子カルテのような患者の個人情報を扱うシステムは、通常のシステムと物理的に通信を分けています。

    最近では、クラウド上で電子カルテを管理している病院さんもありますけども、当院の環境ではまだ時期尚早ではないかと考えていまして、クローズドな通信環境で使用できるものが欲しいというのが、1番の希望でした。

    その上で色々なサービスと比較しましたが、有名なツールはクラウド版しかないものが多いです。そこでインターネット検索で見つけたのがクラウドとオンプレミスの両方に対応する『InCircle』でした。
    ブルーテック社に問合せをしたら、直ぐに詳細な資料を送っていただきました。そこからはとんとん拍子で話が進みました。色々と資料や他院での導入事例を見ていると、『InCircle』のAPI機能でいろいろなことができるというのが分かって、「これは面白い、うちでも同じようなことができないか」と思いました。
    『InCircle』をお選びいただいた決め手はなんだったのでしょうか?
    堀様 繰り返しにはなりますが、当院の電子カルテと連携させるためにオンプレミスで導入できることです。あとは価格です、そこはかなり重視して選びました。

    小谷野様 『InCircle』は機能やUIが大変シンプルなのも良かったと思います。余計な機能がついていると「難しそうだ」と思われて、結局利用が進まないこともありますから。あとは、『InCircle』の導入事例の中で、大阪大学医学部附属病院(以下阪大病院)さんの事例を見つけたことです。私の中では阪大病院さんの情報システム部門は本当にしっかりされているという印象がありまして、「阪大病院さんが選んでいるツールだったら間違いない」というのも一つありました。
  • 『InCircle』のAPIをフル活用して他システムと連携
    院内業務の効率化を実現

    現在、『InCircle』を具体的にどのように使っていますか?
    堀様 基本的なところで言えば、内科、外科といった診療科ごとにグループを作って、医師や看護師をはじめ職員同士の業務連絡に活用しています。他にも、院長、医師、看護師、放射線技師など、科や職種を問わずに一斉連絡を行いたい時も『InCircle』を使っています。

    また、当院では『InCircle』のAPI機能を使って、他システムでなんらかのデータ送信や更新があった場合に、関係者に向けて『InCircle』で自動通知を送信するシステムをいくつか構築しています。

    今回は、その中から3つほど紹介させていただきます。

    一つ目は、既存の電子カルテとの連携です。当院が使用している電子カルテにはメール機能がついてまして、患者の情報に関しての連絡は、基本的にこの機能を活用して閉域環境で行っています。しかし、問題点として、「電子カルテを開かないとメールの受信確認ができない」ということがありました。さらに、当院が使用している電子カルテにはライセンス上限がありまして、「利用者の多い時間帯だとそもそもカルテを見れない」という問題もありました。

    そこで、メールを送信する時に出力するログファイルから、「送信元情報」と「メールのタイトル」を受信者宛に『InCircle』 で通知するシステムを構築しました。これによって電子カルテをいちいち見に行かなくてもメールの有無を『InCircle』 で判別できるようになりました。これは現場の医師や看護師も大変重宝してくれています。

    二つ目は、スケジュール管理用アプリケーションとの連携です。これは一般的なスケジュール管理アプリと同じようなものをイメージしていただければいいと思います。ああいったものを使いたいという要望が職員からありましたので、『InCircle』 と組み合わせることを前提に、0からスケジュール管理アプリを構築しました。

    具体的には、『InCircle』 で設定した各診療科ごとのグループ情報をAPIで取得し、スケジュール管理アプリで作成した予定を、『InCircle』 上のグループ情報と紐づけられるようにしました。これによって、作成した予定の日時が近づくと、予定に紐づけられたグループに所属するユーザーへ自動的に『InCircle』 で通知を送るシステムを構築しました。例えば、 内科グループで勉強会の予定を入れると、予定の1時間前になったら内科に属する職員全員に通知が飛ぶようなイメージとなります。

    最後に三つ目は、議事録管理システムとの連携です。これも当院が0から開発した議事録管理システム「DACHS」と連携して『InCircle』に自動通知を送信する仕組みを構築しました。具体的には、議事録の提出時や作成・承認が滞っている時などに『InCircle』で自動通知を送るようにしました。そのため、 一次承認者のところでフローが止まった時も、規定の期間が経過した時点で督促通知を送るようにしております。

    今回紹介するのは以上となりますが、他にも「空床情報の自動通知システム」や「病理組織診断結果悪性時の内容通知システム」など様々な用途で『InCircle』 を活用しております。
  • コミュニケーションのストレスが解消され、
    情報共有が活性化

    『InCircle』の導入で院内に変化はありましたか?
    堀様 やはり情報共有が以前より活発になったのは間違いないと思います。職種を横断した連絡が『InCircle』 によって簡単にできるようになりましたので、確実に便利になっていると思います。

    小谷野様 実は、導入前は一部の医師から抵抗もありました。医師たちは常に多忙なため、『InCircle』 のような気軽な連絡手段を導入することで、「何でもかんでも連絡が来て、パンクするのでは」という懸念があったり、今までの慣れた連絡手段から新しい手段に対応するのを億劫に感じたりといった理由からです。ただ、いざ使ってみたら「意外と大丈夫じゃないか」といった雰囲気で、完全に不安を解消したとは言えないまでも、少しずつ和らいでくれています。

    また、医師以外の立場にとっても、良い変化をもたらしています。PHSを使っていた時は当院での連絡手段は電話が基本でした。その際、連絡を受ける側の医師は、時として外来診療中だったり、手術中だったりと、どうしても手が離せない状況があります。そうなると業務上必要な連絡とはいえ、電話をかける側がどうしても気を使って、医師の予定を確認しながら恐る恐る電話をかけなければいけなかったりします。『InCircle』 を使うようになってからは、重要度の低いものはチャットで送っておけば、手の空いた時に見ていただけるので、連絡する際のストレスが減っていると思います。

    佐藤様 チャット機能以上に先ほど見ていただいたような他システムとの組み合わせで発揮される影響が大きいと感じています。例えば、空床情報の自動通知システムなどは「今日は何床空いていて、 何人入院してる」といったことが毎朝『InCircle』 に通知が来ます。 ちょっとしたことではありますが、リアルタイムで病院の状況が分かると、責任を改めて実感できて、モチベーションの向上に繋がったという声を多くの職員から聞いています。


    今後このように使いたい…という展望はありますか?
    小谷野様 今は患者についてのやり取りは電子カルテを利用しているのですが、今後はそういったやり取りも『InCircle』 で行いたいです。オンプレミスなので技術的なハードルは低いのですが、やはり初めてのことに拒否感を示される方は一定数いらっしゃいます。その方たちに納得して使っていただくためにも、無理せず段階的に導入を進めていければと思っています。

    堀様 現時点では、スマートフォンが全員に行き渡るほどの台数を用意できていないというのもあります。医師は全員持っていますが、他は一部の役職者が持ったり、看護師は共用のものを使ったりといった状況でして…。もしも、職員全員が個人用のスマートフォンを持てるようになれば、更に利用は拡大していくでしょう。

    最後に、『InCircle』をまだ導入されていない企業の皆様に向けて、 おすすめのコメントをお願いします。
    堀様 『InCircle』 導入時のサポートが非常に手厚くて、たとえITについて詳しくなかったとしても、かなり親身に面倒を見ていただけると思います。その点は本当に安心して導入できるのではないでしょうか。また、『InCircle』 のAPI機能はかなりの拡張性があるので、導入の際はぜひ利用を考えていただければと思います。

    佐藤様 オンプレミスで利用できるので、情報漏洩を気にしなくても良いというのは、管理する側としては非常にありがたいです。ともかく問合せが無いのが良いです。当院が導入しているシステムについて、日々職員から色々な問合せがありますが、『InCircle』に関しては問合せや苦情が全くありません。皆さんに満足して使っていただけている証ではないでしょうか。

    本日はありがとうございました
    飯田様・小谷野様・佐藤様・堀様 ありがとうございました。
    ※本取材は感染症対策に十分な配慮をしたうえで行なっています。

※掲載内容は取材当時のものです。(2023年12月時点)

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