業務の標準化とは、ある業務を特定の人しか遂行できない状態、いわゆる属人化から脱却することを指します。もし「仕事の引継ぎができていない」「新人教育がうまくいかない」といったお悩みを抱えているなら、業務の標準化について知ることで解消するきっかけになるのではないでしょうか。
そこで、本記事では業務の標準化について解説するとともに、そのやり方、そしてよく似た言葉である業務の平準化についてもまとめて解説します。
【この記事の内容】
「業務の標準化」とは、「ある業務をどの社員が担当しても同じ成果を出せるように、業務フローを明確化し、ルール作りを行うこと」です。業務の標準化がされていないと、社員によってフローや業務のやり方にバラつきが発生し、成果物のクオリティが一定でなくなるといった問題が生まれます。標準化を進めることで、クオリティの安定や業務効率化に繋がります。 また、「特定の人物しか詳しいやり方を知らない」といった業務の属人化を防ぐ効果もあります。こういった業務の標準化のメリットについて、次の章で解説します。
業務標準化にのメリットについて詳しく解説していきます。業務の標準化には、以下3つのメリットがあります。
属人化のデメリットとして、業務フローの中にムダや非効率な作業があっても、改善できずに非効率な状態のまま業務を進行してしまうことがあります。業務の標準化を行うと属人化していた業務が可視化され、第三者の目で業務フローを見直せます。
すると、業務フローの改善に繋がりますし、個人が所有していた有益なノウハウが共有され、より効率的に業務に取り組むことも可能です。
業務の標準化には、業務の可視化と業務を効率良く進めるためのマニュアル作成が欠かせません。マニュアルの活用によって、社員全員が同じフローで作業できるため、業務品質にバラつきが起こり辛くなります。また、顧客対応などにもマニュアルを定めることで顧客満足度の向上に繋がるでしょう。
業務の標準化によって業務フローが統一化されることで、社員の業務状況を管理しやすくなります。社員の業務がどれくらい進んでいるかが把握しやすくなることで、トラブルの発生を即座に察知し、対応できるようになるからです。
また、業務フローが明確だと社員の作業を数字に基づいて客観的に評価できるため、成果目標を明確に設定しやすくなる効果もあります。人事評価の際も、同じ基準を用いて定量的に評価できる為、社員が納得できる公正な評価が可能になります。
では、具体的にどのように標準化を進めていけばいいでしょうか。
業務の標準化を進めていくやり方を以下5つのステップに分けて紹介します。
業務標準化を進める前に、まずは、業務をどのように進めているのか把握する必要があります。下記の点に注意しながら、業務担当者にヒアリングを行い現状把握に努めましょう。
現状把握を進めていくと、問題点を抱えている業務が洗い出されていきます。
現状把握によって、業務における問題点が明らかになったことでしょう。しかし、一度に全ての問題点に対処しようとすると収拾がつかなくなります。まずは、標準化すべき業務に優先順位をつけ、順番に対処しなくてはならないでしょう。
下記のような業務は優先順位が高くなります。
緊急度や優先度が高いものから順に標準化していきましょう。
標準化すべき業務を選出したら、現時点での業務フローや仕事の手順などを担当者からヒアリングした情報を元に整理していきます。業務フローの整理は文章のみで記述するのではなく、フローチャート等を使って視覚的に整理していくと、後のマニュアル作成がやり易くなります。
業務フローの整理が終わったら、業務フローのマニュアル化をしていきましょう。マニュアルによって、業務フローを分かりやすく明文化・可視化していきます。
注意点として、マニュアルはその業務について知らない人間が見た時に、直ぐにでも業務に取り掛かれるモノでなくては意味がありません。しかし、最初から完璧なマニュアルを作るのは難しいため、まずはフローチャート等を使って簡単な業務マニュアルを作成し、業務を進行しながら徐々にマニュアルを完成させていくやり方をするといいでしょう。
マニュアル作成が終われば、業務標準化は無事終了...とはいきません。業務内容は永続的に変わらないものではなく、会社状況によって常に変動するものなので、継続的に業務フローをチェックし、更新・改善を行っていかなければなりません。常にPDCAを回して、更に業務効率の良いフローに改善していきましょう。また、その際は業務目標を定量的に設定しておくと、評価が行いやすく、後々PDCAを回しやすくなります。
業務標準化のやり方Step5で述べたように、マニュアル作成が業務標準化のゴールではありません。マニュアルが組織に定着し、属人化が発生しないよう管理しなくてはいけません。本項ではStep5を掘り下げて、業務標準化を進める上での注意点をいくつか紹介します。
業務標準化にありがちな失敗例として、トップダウンで標準化を進めようとすることで、従業員の理解が追いつかず、現場に定着しないことがあります。標準化を進めるのはあくまで実際に業務を行う現場の従業員であることを忘れずに、なぜ標準化するのか、どうやって標準化していくのか、などを事前に共有しておきましょう。
例えば、標準化される業務に携わる関係者には、研修とともに目的を理解してもらう時間を設けると良いでしょう。一方的に実施するのではなく、関係者とコミュニケーションをとりながら進める必要があります。
作成されたマニュアルは定期的に見直しましょう。業務内容は常に変わっていくものです。そのため、長年更新されないマニュアルはだんだんと形骸化し、属人化していた状態に逆戻りしてしまいます。あらかじめ期間を決めて、定期的に見直しを行うことで、業務標準化の体制を作り出せるでしょう。
標準化により、業務効率化や成果物の品質安定が図れることは、業務標準化のメリットで述べた通りです。しかし、標準化によって業務マニュアルが充実すると、「業務担当者が状況に応じて判断する」「業務の進め方について考える」といった機会が少なくなり、単なるルーティンワークになりがちです。そうなると、単調な業務への不満から、従業員のモチベーションが低下することもあるでしょう。
そういった時は、標準化によって余裕のできた業務時間を利用して、「更なるマニュアルの最適化」「新商品の企画」「顧客満足度を向上させる」といった、より付加価値の高い業務を従業員たちに割り当てモチベーションを保つことも大切です。
業務標準化に似た言葉として、「業務平準化」があります。これらは語感としてはよく似ているため同じ概念だと勘違いされることも多いですが、実際は標準化とは全く異なる概念の為、誤解のないよう解説いたします。
そもそも「平準化」とは、辞書に拠れば、「水平にすること。平らにすること。平均」や「物事の均一をはかり、でこぼこをなくすこと。また、そのようにしてできた一定の水準」とあります。
そのため、ビジネスシーンにおける「業務平準化」とは「従業員同士の作業量や業務負担の偏りを無くし、均等・均一化すること」と表現される場合がほとんどです。また、製造業の世界においては「生産量や商品・部品種類の平均化」を指す言葉として利用されることもあります。
「平準化」と「標準化」を混同しないように気を付けましょう。
業務標準化には、マニュアル作成のために業務に関する情報の蓄積やリアルタイムでの情報共有が不可欠となります。多くの企業ではこういった情報共有を『Excel』や『Googleスプレッドシート』に頼りがちだと思いますが、これらのツールは大きすぎる容量のデータを格納すると動作が重くなったり、リアルタイムでの更新がし辛いなどの問題点を抱えています。そのため、業務の標準化をするためは専用の情報共有ツールの活用をオススメしています。情報共有ツールを選ぶなら下記のような機能を持つ物がよいでしょう。
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最後までお読みいただきありがとうございました。
業務の標準化は、業務フローをマニュアル化することで、従業員ごとの業務効率を一定にします。業務内容の可視化にも役立ちます。
自社の業務において、効率が悪い・属人化している・業務内容が管理しきれないという問題を抱えている場合、業務の標準化によって問題が解決するかもしれません。ぜひ、試してみてください。