備品管理は重要度の低い業務だと思う方もいるかもしれませんが、実は会社という組織においては、業務効率化、経費削減や節税といった様々なメリットがあり、とても重要性の高い業務です。本コラムでは、備品管理のやり方や、備品管理台帳の作り方、オススメのITツールを紹介していきます。社内の備品管理に問題意識を抱えている方はぜひ本コラムを参考に自社の備品管理業務を見直してみてください。
【この記事の内容】
そもそも備品とは、文房具やコピー用紙のような消耗品から、デスクやパソコン、工業用の機械・器具といった物まで、業務を遂行するためにオフィスに備えてある物品のことを総称しています。備品管理は、そういった業務を遂行する上で必要となる物品の保管場所や使用状況、使用者情報を管理することを指します。それだけではなく、備品に関する情報をまとめたデータベースの作成や備品をどのように取り扱うかを定めるルール作りも必要となるでしょう。
しかし、そうまでして備品管理をする意味はあるのかと疑問に思う方もいるかもしれません。そこで、次の項からなぜ備品管理が必要となるのか、必要性やメリットを説明いたします。
備品管理の主なメリットはこの3つです。
・経費削減・節税
・セキュリティの向上
・不正防止
下記にて詳細を説明いたします。
備品管理によって、備品の数や使用率も把握できるようになることで、経費削減に繋がります。例えば使用率の高い物や数量が足りていない物は多く発注したり、逆に使用率の低い物や数量が十分ある物は発注数を抑えたりと、備品ごとに適正な数を発注できるようになるため、経費を無駄なく利用できるようになります。また、備品の購入費を経費として計上することで法人税を圧縮できるため備品管理を上手くこなせていれば、会社の業績を踏まえて、備品の購入数や購入時期を調整し節税することも可能となります。
会社によっては流出や破損などの事態が起きた場合、経済的・社会的な損害を与える可能性のある物品を扱っているものです。例えば、大量の機密情報を含むデータが保存されているパソコンやUSBなどの備品が自由に持ち出せる状態であれば、万が一社外に流出するような事態があっても気づくことができません。備品管理は、こうしたセキュリティ上のリスクを排除する為にも必要となります。
適切な備品管理ができていないと、社長や従業員による不正行為を招く可能性があります。例えば、従業員が「業務で使うため」と偽って経費で私物を購入したとしても、会社は把握できません。あるいは、社長が従業員に分からないように、会社の資金を事業と関係ない自分の趣味に使い込むことも簡単にできてしまうでしょう。備品管理は、こうした会社の私物化や横領といった不正を防止し、購入した物品がどのように活用されているかをしっかりと社内外に示すという重要な役割があるのです。
では、備品管理を始めるにはどのような方法があるのでしょうか。本項では、備品管理のやり方を下記6つのステップに分けてご説明いたします。
1.備品の現状把握・棚卸
2.備品のカテゴリ分けをする
3.備品管理台帳を作成する
4.備品のラベリング
5.備品管理のルールを策定する
6.定期的な運用の見直し
まずは会社にある全ての備品の棚卸を行い、備品の種類や数量のチェックをします。
オフィス備品は、文房具のような消耗品から、PCのような高価なものまで様々な種類があります。
棚卸によって社内にある備品を把握できたのなら、備品のカテゴリ分けを行いましょう。例えば、ボールペンやノート、付箋といった文房具と、パソコンやUSBメモリ、HDDといったIT機器では管理方法が異なります。分類した結果、管理すべきカテゴリが多い場合は、複数の担当者で分担すると管理が複雑にならずに済みます。
現状把握とカテゴリ分けが済んだら、それらの情報や備品の使用状況をいつでも見返し確認できるように、備品管理台帳を作成します。備品の情報を細かく記録しておくことで、利用状況や備品の個数を簡単に把握できるようになります。
※備品管理台帳の詳しい作り方は次項で説明いたします。
特にパソコンやスマートフォンなどの備品は多くの社員が利用し、持ち歩きます。そこで誰がどの備品を利用しているのか管理するために識別用の番号を記載したラベルを備品に貼り付けましょう。例えばラベルプリンターなどの機械を使用すれば識別番号付きの管理ラベルを簡単に発行できます。また、ICタグやバーコードを一緒に添付すれば、読み取り用の端末を使用して更に備品管理を効率化できるようになります。
全社員が統一した備品管理を行えるよう備品管理のルールを策定します。例えば下記のようなルールを制定しましょう。
・備品管理台帳の使用方法
・備品の置き場所
・備品の発注フロー
・貸与品の利用申請方法
・故障や破損、紛失等のトラブルが発生した時の対応
備品管理におけるルールは特定の人物が1人で使用するものではなく、社内全ての人間が使用するものです。そのため、備品管理のルールを明確にし、正確に周知させることが重要となってきますので、全社員がいつでも見返すことができるよう社内掲示板やグループウェア等を使用して共有しましょう。また、社員にルールを定着させるためにもできる限りシンプルな内容に留めることも意識しましょう。
作られたルールが常に守られているとは限りません。例えば、備品の勝手な持ち出しや発注等はコストや情報セキュリティの面でも良いとは言えません。
定期的に備品の棚卸を行えば、備品数の誤差や備品の故障にも気づくことができ、不正行為に対する抑制にもなるでしょう。
先ほど紹介した通り、備品管理をする上で台帳の作成は必須と言えます。備品管理台帳の作り方が分からないという方は、まずは下記のような項目を作り、それに合わせて備品の情報を入力していくと良いでしょう。
同じ物品であっても、パソコンのような長期間利用する貸与品は誰が利用しているかを把握するために管理番号が必須の情報となります。
管理番号だけではどういった物品か判別し辛いため、物品名の情報も必要です。例えばスマホやパソコンなどの貸与品は、名前と共に型番やメーカー等が記入してあると管理しやすくなるので、名前に併記するか、専用の項目を作ると良いでしょう。
記入例:パソコン-L390-Lenovo
携帯電話-iPhone12-Apple
備品数が多くなると、備品情報を見返す際に物品名だけではなかなか欲しい情報を検索できない場合があります。そこで物品のカテゴリを記入する項目を用意しておくと後々の備品管理が容易になります。
記入例:パソコンや携帯電話の場合は「情報機器」、デスクや椅子は「オフィス家具」等
購入した備品に関する項目です。購入数や現在の数量とセットで記録しておくことで、備品ごとの消費速度を導き出せるので消耗品の管理にも適しています。
以上が基本的な備品管理に必要となる項目です。他にも貸与品などの管理が必要な場合は、利用開始日、利用者、返却日等の項目を用途に応じて都度追加すると良いでしょう。
備品管理に『Excel』や『Googleスプレッドシート』といった表計算ソフトを利用している企業は少なくありません。別段面倒な準備も必要なく、初期費用も抑えられるため選択肢としては悪くありませんが、両者には明確なデメリットがあることも留意しておきましょう。
例えば、『Excel』では、情報共有の際に「ファイルのコピー」を繰り返すとどれが最新の情報なのか分からなくなることもありますし、ファイルに格納するデータ量が多くなると作業効率の低下を招きます。一方、『Googleスプレッドシート』は情報共有という点では『Excel』より優れていますが、こちらも情報量が増えるにつれてシート内での動作が重くなってしまうため、結局は用途別にシートを分けるなどの対策をする必要があります。
なにより『Excel』や『Googleスプレッドシート』による管理の一番の問題点は、情報セキュリティの低さと言えます。『Excel』も『Googleスプレッドシート』も個人が簡単にデータを抜き出すことが可能なため情報漏洩の原因となります。そういった点を踏まえると、数十人以下の小規模企業なら『Excel』や『Googleスプレッドシ-ト』を利用し、それ以上の規模や大量の備品を管理する必要がある企業では専用の備品管理ツールや情報の蓄積に優れたWEBデータベースのようなITツールを利用するのが良いでしょう。
ある程度の規模感の企業ではITツールの利用が適していると説明しました。では、どういう基準でITツールを選択すれば良いでしょうか。備品管理に適したITツールの選択基準を下記にて紹介します。
備品管理をする上で、備品に関する大量のデータを蓄積し、蓄積したデータをタイムラグなく共有し編集できるものでなくては意味がありません。そのため管理できるデータ量の規模や同時に利用できるユーザー数をあらかじめ確認し、会社の利用したい規模と見合っているかを照らし合わせましょう。
実際にツールを操作するのは、現場の社員です。そのためITツールに不慣れな社員でも直感的に利用できるものを選びましょう。それによりツールが定着しやすくなるのはもちろん、何度も研修をしたり、マニュアルを作成したりといった工数も削減できます。また、簡単なツールは業務の属人化を防ぐため、担当社員の休職や退職などの不測の事態にも対応しやすくなるでしょう。
会社の状況によって必要とする機能が異なります。例えば、QRコードの発行や読込機能、カレンダーと連携した備品予約機能が必要という企業もあるでしょう。自社の求める要件を満たしていないツールを導入しても、業務効率化やコスト削減に繋がらず、むしろ悪化を招く可能性すらあります。まずは自社の管理したい備品の特性や規模感を把握し、そこから逆算してどのような機能が必要かを洗い出すことが大切です。
備品管理ではパソコンやスマホ、オフィス家具といった高価な物品を管理するため、不正や紛失、情報の改ざんなどが起こらないよう情報を管理しなくてはなりません。例えば、情報の入力や編集権限を持つのは備品管理のメイン担当者のみに留め、他の社員は閲覧権限のみを持たせるなど、高度なアクセス権限を設定できるツールを選ぶといいでしょう。
ここまで紹介したことを踏まえて、本項では備品管理に適したツールをいくつかご紹介します。ツール選びの参考にしていただければ幸いです。
公式サイト:https://www.bluetec.co.jp/shelter/
『Shelter』はブラウザ上でデータベースの作成や管理が行えるクラウドサービスです。備品の情報を蓄積するデータベースとしての役割のほかにも、タスク管理や問い合わせ管理など様々な業務に使用するアプリケーションをプログラミングの知識なしで作成できるため、備品管理以外にも社内で抱える課題に幅広く対応できます。
『Shelter』の料金体系
導入費用:0円
ユーザー数:無制限
月額料金:1万5千円
公式サイト:https://convibase.jp/
『Convi.BASE』は固定資産、IT機器、備品といった様々な物品を無制限に一元管理・共有ができるクラウド型の備品管理ツールです。
バーコード、ICタグ、カメレオンコードにも対応しており、専用アプリをダウンロードすればスマホを使用してさらに物品の棚卸し作業を効率化できます。また、APIの提供を行っているため他社のシステムとの連携が可能で、導入済みのシステムがある企業にとっては二重管理の防止にも役立ちます。
『Convi.BASE』の料金体系
導入費用:90万円(導入作業を自社で行えば0円)
ユーザー数:1名~5名(プランにより変動)
月額料金:5万5千円|7万円(ユーザ-数5名)|10万円(貸出管理+入出庫管理機能が追加)
公式サイト:https://www.assetment.net/
『Assetment Neo』はIT機器をはじめとした、各種資産の管理に特化したクラウド型備品管理ツールです。自社内にある資産と客先に貸し出している資産の両方を管理できる点がメリットです。料金によって管理できる資産数に制限はありますが、その代わりユーザー数無制限で利用できる為、社員全体で備品情報を共有管理したいと思っている会社に適しています。
『Assetment Neo』の料金体系
導入費用:公式サイトに記載なし
ユーザー数:無制限
月額料金:Light(資産数1,000まで、月額4万円~6万円(オプションにより変動))|Standard(資産数50,000まで、月額6万円~28万円(資産数やオプションにより変動))|Enterprise(資産数無制限、個別見積)
公式サイト:https://www.headwaters.co.jp/service/circurental.html
『Circurental』は『Microsoft365/MicrosoftTeams』連携可能なクラウド備品管理ツールです。情報機器や書籍などの貸出・返却管理はもちろん、消耗品の在庫管理にも対応しており、最大の特徴として、社員管理ツール、消耗備品管理ツール、資産一覧表示ツール、物理資産レンタルツールといった4つのツールを必要に応じて組み合わせて利用できるため、「導入したは良いものの、全部の機能を使いこなせていない」といった事態を防ぐことができます。
『Circurental』の料金体系
要問合せ
公式サイト:https://mamoru-secure.com/pay/?source=pay_articles_44
備品管理だけでなく、「オフィスの名もなき仕事を減らす」をコンセプトに社員の出社管理やフリーアドレス時の座席管理、会議室予約、社内決裁など様々な作業を効率化するビジネスツールです。備品に関してはQRコードの印刷・読み取り機能で、棚卸しや貸出品の管理を効率化します。備品管理だけではなく社内の煩雑な作業に悩みを抱えている企業に特におすすめのツールです。
『Mamoru Biz』の料金体系
導入費用:0円(ユーザー数:300人まで(301人以上は要問合せ))
月額料金:スタンダードプラン(4万円(全通常機能を利用可))|プレミアムプラン(10万円(全通常機能+プレミアム機能の内1つ利用可能))|プレミアムプラン2(15万円(全通常機能+プレミアム機能の両方を利用可能))
公式サイト:https://www.notion.so/ja-jp/product
『Notion』は備品管理だけでなく、プロジェクト管理や情報共有といった業務を楽にするテンプレートが豊富に用意されているクラウド情報管理ツールです。UI設計がシンプルで使いやすく、誰でも簡単に操作できるように設計されており、ドラッグ&ドロップの直感的な操作で、自社の業務に必要な機能を実現することができます。
『Notion』の料金体系
導入費用:0円
ユーザー数:人数ごとの従量課金
月額料金:チーム(8ドル/1名あたり)|エンタープライズ(要問い合わせ)
先ほども紹介したように『Shelter』は備品の情報を蓄積するデータベースとして利用できるほか、利用者に応じた詳細なアクセス権限機能や貸与品の期限が迫ったら自動でリマインドを配信する機能もあるため、備品管理に関わる業務の全てを『Shelter』で完結できます。
何より初期費用無料かつユーザー数無制限で月額1万5千円利用できる為、利用ユーザーが何人でもリーズナブルにご利用いただけます。操作感などが知りたい方はまず無料トライアルで『Shelter』をお試しください。
<『Shelter』をおすすめする3つのポイント>
1.利用料金の安さ
ユーザー数無制限で月額1万5千円の情報管理ツールは他に類を見ない破格の料金です。
2.自社の業務に合ったアプリケーションをカンタンに作れる自由度
単純な情報共有や社内の情報管理はもちろん、タスク管理、問い合わせ管理、契約書管理など様々な社内の管理業務を効率化するアプリケーションをプログラミングの知識なしで簡単に作成できます。
3.ユーザーごとに個別のアクセス権限を設定できる
『Shelter』は利用ユーザーごとにきめ細かいアクセス制御が設定できます。例えば、「データの更新」「データの閲覧」などの権限も細かく設定できるため、ユーザーの立場に合わせて編集・閲覧範囲を制限することが可能となっており、社内のみならず社外との情報のやり取りにも利用できます。
最後までお読みいただきありがとうございます。備品管理は会社の規模が大きくなるほど重要性が増す業務です。コンプライアンスの徹底や無駄なコストを減らすためにも、しっかりと備品管理を行うことが大切です。
また、備品管理ツールを選ぶ際は、自社の管理したい備品の性質や規模をあらかじめ把握したうえで、導入のしやすさや、既存システムとの連携、Excelで作った既存の備品管理台帳をインポートできるかなども考慮に入れると社内により定着しやすくなるでしょう。