ビジネスにおいて、避けることができないのがクレーム対応です。特に小売りやメーカーなど顧客との繋がりが多くなる業種では様々な要因からクレームを頂くことになります。
多くの人にとってクレームは、あまり良いイメージがない事象だと思いますし、できることなら「クレーム対応したくない!」「クレームを減らしたい!」と考えるのではないでしょうか。
しかし、クレームやクレーム対応を減らすための解決の糸口は、実は多くの人から忌避されがちなクレームそのものに潜んでいるのです。本コラムではクレーム対応の大切さを説明するとともに、クレームに対する考え方を転換し根本的にクレームを減らしていく方法について紹介いたします。
【この記事の内容】
さて、突然ですがみなさんは「1:29:300の法則」をご存知でしょうか?
「1:29:300の法則」とは、アメリカの損害保険会社に勤めていたハインリッヒという男性が発表した法則で、「330件の事故のうち、1件は重大な怪我を負う事故、29件は軽傷を負う事故、そして残り300件は怪我を負わずに済んだ事故、そしてその330の事故の背後には数千に達するほどの不安全行動と不安全状態が存在する」というものです。
つまり、「1:29:300の法則」とは、あくまでも目に見える事故は氷山の一角に過ぎず、事故を本質的に減らすには、事故を起こす原因となる目に見えない不安全な行動や状況を改善しなくてはならないことを示しています。
当たり前のように感じるかもしれませんが、クレームに当てはめてもそれは全く変わりません。クレームとして表に出てくるのはあくまでも一部、ほとんどの人は不満に思ったら何も言わずに立ち去ってしまいます。クレームを悪いもの・ネガティブなものとして捉えている人は多いと思います。しかし、この法則に沿って考えると、クレームは不満を表明せずに去ってしまう顧客の声を代弁しているといえるのではないでしょうか。
「何故クレームをしているのか」「顧客の期待を裏切ってしまった部分はどこか」クレーム対応時に丁寧にヒアリングしていくことで、クレームの原因となった部分を特定することができます。クレームとは自社の商品やサービスを良くするための貴重な情報源で、会社の資産とも言えるのです。
クレームは、会社の資産と表現しましたが、顧客から頂いたクレームのままではその真価を発揮できません。クレームに真摯に対応し、問題点を正確にヒアリングすることで初めて企業の発展に役立つ資産としての価値を引き出せるのです。
また、クレーム対応のやり方によっては企業に対する顧客のイメージを大きく左右します。
例えば、クレーム対応が適切なものであれば一転、自社のファンになることも考えられます。クレームを言ったときに話を聞いてもらえたこと、事情を理解し迅速に対応してくれたことは、顧客の心に深く残ります。初めは不満によるものだったとしても、コミュニケーションをとっていく内に「この企業はクレームに対して真摯に対応してくれる」と信頼を得られるケースも少なくないのです。
一方で、対応が遅い、話を聞かない、納得できる説明がないという状況では、顧客の抱える不満はより大きくなります。特に近年では、SNSやクチコミサービスの発展で、ポジティブな評判よりネガティブな評判の方が圧倒的に拡散されやすい状況にあると言えます。ただの平謝りで一時的に顧客の怒りを鎮めようとするのではなく、しっかりとコミュニケーションを取り不満に思った部分をどう改善していくかに重点を置いて対応することが何より大切となっていくでしょう。
さて、クレーム対応の重要性はおわかりいただけたと思いますが、本題である「クレーム対応を減らす」にはどうすれば良いでしょうか。すぐに始められるやり方としてクレーム管理をオススメします。
クレーム管理とは、過去のクレーム情報をデータベースに蓄積し、欲しい情報を好きな時に引き出せるようにクレーム情報を管理することを言います。
クレーム管理することによって、例えば頻繁にいただくクレームに対して、過去の対応の流れを把握できるようになるので、同じ失敗を防ぐことに役立ちます。
また、クレーム情報を担当の社員以外にも共有することで、どういう点がクレームに繋がったのかを様々な視点から精査できる為、改善点をより見つけ出しやすくなります。そのためにも、クレーム情報を蓄積する際は。クレームが発生した日時、クレームの内容、対応者、対応内容、顧客の反応などをなるべく詳細に書くようにしましょう。
クレーム管理を行う際はただ情報を蓄積するだけでは意味がありません、下記のポイントを押さえておく必要があります。
・情報共有しやすい環境の構築
・ワークフローを明確にする
・情報セキュリティ
ここではクレーム管理を行う際の重要なポイントについてそれぞれ解説していきます。
蓄積されたクレームに関する情報は、社内全体で共有しなくては意味がありません。特にクレームを共有できていない会社は、クレーム対応や共有方法について現場の判断に任せきりにしているケースが多く見られます。
そのため、情報共有の方法について細かくルールを策定し、マニュアル化することが大切です。時にはクレーム対応の窓口以外の人間がクレームを受ける場合もあるので、ルールを策定することで不測の事態にも対応しやすくなるでしょう。
たとえば、下記のようなルールを定めることをおすすめします。
・クレーム情報は多くの社員が確認できるオープンな環境に蓄積する
・定例MTGなど明確な情報共有のタイミングを決める
・他部署の人間が見ても理解できるように情報共有用のフォーマットを作り、それに沿って共有を行う。
クレームに応じてどのようなフローで対応を行うか、誰に対してどのようなタイミングで情報を共有するかなどは、場当たり的に決めるのではなく、情報共有の仕組み同様あらかじめルールづくりをしておく必要があります。
顧客は現在どういう状況なのか、誰が対応するのか、いつまでに連絡するのか、そういった暗黙知になりがちなワークフローを明文化することで、迅速かつ正しい対応ができるようになり、結果的に顧客満足度の向上に繋がるでしょう。
クレーム情報には多くの顧客情報が含まれています。顧客情報は守秘義務契約を締結し会社が預かるものですから、より一層厳重に取り扱わなくてはなりません。クレーム情報はとっさに、紙等にメモをする場合もありますが、紙は紛失の恐れもあるので、アクセス権限を自在に設定できるセキュリティに優れたシステムを利用することが確実です。
例えば、自分の担当範囲に関わる情報だけは編集できるが、担当の範囲外の情報に関しては閲覧しかできないなどの制御ができると良いでしょう。
クレーム情報は、クレーム対応する部署だけでなく営業部や商品企画部など様々な部署で商品やサービスの改善、新規開発に役立てることもできます。「クレーム情報の管理」と「クレーム情報の共有」はセットで行って初めて意味をなすことをご理解いただければ幸いです。
最後に、情報の管理と情報共有に特化したWEBサービス『Shelter』をご紹介します。『Shelter』は誰でも簡単に自社の業務に適したアプリを作成できる業務効率化ツールです。クレーム管理に関しても、情報の蓄積や共有といった基本的な機能はもちろん、ユーザーごとに詳細にアクセス権限設定ができるため、情報セキュリティの面でも安心です。
何より、ユーザー数無制限で月額15,000円なので同系のサービスと比較してもリーズナブルにご利用いただけます。
ご興味のある方は下記公式サイトをご覧ください。
最後に、今回ご紹介した内容のまとめです。
ハインリッヒの法則によれば、目に見える数百の事故の背後には、目には見えない数千の不安全な行動や状況が隠れている。クレームにおいてもそれは同じで、目に見えるクレームに真摯に対応することで、目に見えない不満や欠点を見つけ出し改善することが最も大切。それらの改善点を見つけ出し、クレーム対応を減らすには、過去のクレームの情報をいつでも引き出せるようにクレーム情報をしっかりと管理することで、情報の属人化が起こらずに改善点を見つけ出しやすくなるでしょう。
また、クレーム管理をする際は情報共有やワークフローの仕組みをあらかじめ構築しておき、紙やExcelではなく、情報セキュリティや共有性に優れた専用のツールを利用することをオススメします。
こういったツールの導入をお考えの場合は、ぜひ『Shelter』も併せてご検討ください。
最後までお読みいただきありがとうございました。