問い合わせ管理とは、文字どおり顧客からの問い合わせを管理する業務を指します。一口に問い合わせといっても、「商品に関する問い合わせ」や「会社に関する問い合わせ」など、内容によって対処法や対応する部署も異なります。特に近年では、電話やメールでの問い合わせのほかにも、WEBサイトやLINE、SNSなど、問い合わせ窓口が増え、問い合わせ管理に関する業務はより複雑化しています。
日々の問い合わせ数が少ない内は問題ありませんが、数が多くなるにつれ「対応漏れ」や「進捗が分からなくなる」などの事態を招きやすくなります。そういった時に役立つのが問い合わせ管理システムです。
また、システムを使わず「Excelで問い合わせ管理をしているから問題ない」と考えている企業も多くありますが、実はExcelを利用した問い合わせ管理には多くのデメリットがあり、本稿ではそういったExcel管理のデメリットを解説しつつ問い合わせ管理システムを利用するメリットや問い合わせ管理に利用できるオススメのサービスを紹介いたします。
【この記事の内容】
問い合わせ管理システムとは、問い合わせした顧客や問い合わせ内容などの情報を共有・保管できるシステムです。システムによっては、問い合わせに対する自動返信機能といったさまざまな機能を持つものもありますが、基本は「いつ、だれが、どのような方法で、どんな問い合わせをしたか」といった情報を一元管理できるもので、社内における情報共有のスピードが格段に上がり、問い合わせ対応に関する業務を効率化させます。
問い合わせ管理システムは顧客からの問い合わせ情報を一元管理し、情報共有を容易にすることが分かりました。実際問い合わせ管理システムにはどのような利点があるのでしょうか?いくつかご紹介します。
メールや問い合わせフォーム、チャット等、様々な問い合わせ経路を持っている場合、しっかりとした管理がなされていないと「以前どういう問い合わせがあったんだろう?」「問い合わせする人の属性(年齢/性別/地域etc)はなんだろう?」と目当ての情報を探したい時にどうしても時間がかかってしまいます。問い合わせ管理システムなら、蓄積された情報からキーワード検索などですぐに目当ての情報を抽出できるため、顧客ステータスの把握や問い合わせをする人の傾向などを把握し、今後の事業戦略に役立つデータを得ることができます。
日々、多くの問い合わせが来る企業では「どんな問い合わせが来て、誰が対応したのか」正確に把握するのは難しいでしょう。問い合わせ管理システムを利用することで「誰が何に対応して、どのような状況か」といった情報を即座に引き出すことができるため、返信遅れ・対応漏れ、二重対応などを防げるようになります。また、退職などで引き継ぎがあった場合でも過去のデータを簡単にさかのぼり、これまでの対応を把握することで、より適切な対応を取れるようになります。
問い合わせ管理システムは問い合わせ内容だけではなく、担当者が対応した内容を記録しデータベース化できます。これによって能力の高い担当者がどのように問い合わせに対応しているか、いつでも確認できるようになります。本来、個々の担当者に蓄積される経験をデータベース化することで、全体のスキル底上げにも繋がり、研修期間の短縮や業務効率の上昇にもつながります。
Excelは表計算ソフトですが、問い合わせ管理に活用することができます。Microsoftオフィスが入っているパソコンがあれば無料で使用できるため、多くの企業がExcelで問い合わせ管理を行っています。しかし、問い合わせの件数が増えてくるとExcelでは対応しきれず、様々な問題が発生する可能性も高くなります。そこで本項ではExcelで問い合わせ管理をすると、どのような問題があるかを解説いたします。
問い合わせ件数が増えるとそれだけExcel内のデータ量が増えていきます。容量が大きくなるとファイルを開くのに時間がかかったり、ちょっとした動作も重くなるなど作業効率の低下につながります。またファイルが重くなるとデータ破損のリスクが高まることもExcel管理の大きなリスクと言えます。
Excelはファイルのコピーが誰でも簡単にできてしまうためメールやUSBメモリなどの手段で容易に情報を持ち出すことが可能です。パスワード設定で対策を行うこともできますが、問い合わせで得られる情報には顧客の個人情報など機密レベルの高い情報も含まれており、そういった情報の漏洩は企業にとっても大きなダメージになります。大切なデータを管理するには、パスワード対策だけでは不十分だと言えるでしょう。
Excelは複数人が同時に編集したり、データの保存をすることができません。そのため必然的に「誰かがデータを更新→メールやチャットなどで更新したファイルを共有」という手間を取らなくてはいけません。このやり方だとファイルに変更を加えるたびにいちいち更新報告をする必要があったり、どのExcelファイルが最新のものなのかわからなくなるといった事態を招き、さらなる作業効率の悪化に繋がってしまいます。
Excelに習熟している社員がいれば高度な関数やマクロなどを駆使して、多くの情報を簡単に入力できるようになるかもしれません。しかし、そういった専門的な知識により管理されている業務は属人化を招くので、担当社員が退職してしまった時などにメンテナンス不可能になる危険性があります。
前項で記したように、Excelでの問い合わせ管理には多くの問題があり、問い合わせの数が多くなると、いつ、誰が、どのように、どんな問い合わせに対応したのかを即座に把握できません。問い合わせにはできる限り迅速に対応しなくてはならず、一度でもタイミングを逃して顧客に不信感を与えてしまうと、信頼を回復するのは簡単ではありません。
そのため、顧客の個人情報のような重要度の高いデータを扱う際は問い合わせ管理システムの導入をおすすめします。問い合わせ管理システムは情報の一覧性にも優れており、対応漏れの防止や作業効率の上昇にもつながります。ただし、問い合わせ管理システムは似たような製品が多くあり、製品によって機能や価格も千差万別です。深く考えずに導入すると余計なコストが発生したり、担当社員が使いこなせず定着しないという可能性も考えられます。そこで自社にあった問い合わせ管理システムを選ぶ上で注意すべきポイントを併せてご紹介します。
自社に合った問い合わせ管理システムを選定する際に注意すべきポイントを紹介します。
現在検討しているシステムは自社に必要な機能が「本当に」揃っているでしょうか?当たり前のように感じるかもしれませんが、いざ導入した際に「想定していた機能と異なっていた」や「導入前に考えていたものとは違う機能が欲しくなった」ということは起こりがちな問題です。そのため、新システムを導入する際はあらかじめ自社の業務フローを細かいところまで洗い出し、どの工程がボトルネックになっているかを理解しておくことが大切です。効率を落とす原因になっている場所を理解していれば、自ずと必要な機能が明らかになることでしょう。
高機能なシステムでも担当者がうまく使いこなせないものでは意味がありません。理想を言えばITツールに慣れていない社員でも直感的に操作できるシステムであることが望ましいですが、導入前に操作感を確認することはできません。そのため、導入前に無料トライアルが利用できて、操作感を確かめられるものを選ぶのが良いでしょう。また、中には自分でUIをカスタマイズできるシステムもあるので、そういったシステムを選ぶのも選択肢の一つです。
問い合わせ管理システムのメイン機能として、問い合わせによって得られた情報を蓄積できる機能があります。しかし、ただ情報を溜めこみ羅列しているだけの状態では業務には活かせません。例えば、クリック一つで情報をグラフ化できるような機能があれば、視認性も高まり分析しやすくなるでしょう。またCSVなど様々な形式で情報をエクスポートできる機能があれば、専用の分析ツールにデータを移動させたり、社内プレゼンなどの場面でデータを活用しやすくなります。
問い合わせ管理では顧客の大切な個人情報を取り扱います。外部からの不正アクセスや自社社員によるデータ持ち出しなど、そういった情報漏洩リスクをケアできるシステムを選ぶ必要があります。問い合わせ管理システムの中にはクラウド上で動作するものが多く、その場合情報セキュリティのレベルはサービス提供元に依存します。導入前は以下の要素もあらかじめ確認しておきましょう。
・データの暗号化
・不正アクセスの防止機能
・データのバックアップ機能
・データの管理・アクセス権限機能
一口に問い合わせ管理システムと言っても、それぞれに異なる特徴があり千差万別ですが、「何を目的としたシステムか」という観点から大きく三種類に分けることができます。自社にはどんなシステムが合うのか、この三種類の中から選ぶと分かりやすいでしょう。
カスタマーサポート専用ツールの一機能として、問い合わせ管理機能を備えたシステムです。主に受注した後の顧客とのやり取りに適しており、メールや電話、LINE、SNSなど複数経路の問い合わせを一つの管理画面に集約したり、問い合わせとその回答を記事化するFAQ 作成機能などがあります。カスタマーサポート型は顧客満足度を最大化することを目的としており、顧客の疑問や不満を即座に解消するための機能が多く備わっています。
クラウド型のメール共有システムです。メールを送受信するメーラーとしての機能や、一斉送信機能、テンプレート機能、担当者絞り込み、二重送信防止機能などメールで問い合わせ対応を行うのに適した機能を備えています。メールフォームからの問い合わせ対応、予約フォームなどから来る問い合わせに対し、メールで対応を行う企業に適しています。
問い合わせ情報をクラウド上に蓄積し、情報の共有・分析を目的としたシステムです。Web上の問い合わせフォームと連携することで、問い合わせの受付から対応完了まで、問い合わせに関する業務をExcelと同じような操作感で一元管理できます。進捗状況や担当者情報を見える化し、対応の遅れを防ぐ他「プロセス管理」「リマインド通知機能」などを利用すればより効率化できます。
さて、最後にここまで解説した内容を踏まえておすすめの問い合わせ管理システムをご紹介します。今回紹介するものは全て無料トライアルが利用できるシステムになっています。
問い合わせ管理システムがどういうものかわからないという場合も実際に触ってみて操作感を確かめることをオススメします。
公式HP:https://ingage.jp/relation
特長
・カスタマーサポート向けシステム
・メール、電話、LINE、SNSなど、様々な経路からの問い合わせを一元管理
・少人数で大量の問い合わせに対応したい企業向け
料金
・月額12,800円+初期費用15000円
※月額費用はご利用のユーザー数やストレージ容量によって費用が変わる、詳細は要問合せ。
公式HP:https://yaritori.jp/
特長
・Eメールによる問い合わせ対応に特化したシステム
・問い合わせ顧客に自動タグ付けを行い、問い合わせ情報を即座にデータベース化できる
・1ユーザーごとの従量課金制なのでスモールスタートしやすい。
料金
1ユーザーにつき月額980円~
特長
・フォーム作成から問い合わせ管理・データの分析までワンストップで行える
・フォームからの問い合わせをカンバン方式で簡単に管理できる
・少人数で大量の問い合わせに対応したい企業向け
料金
BEGINNERプラン:月額3,880円(2ユーザーまで)
STARTERプラン:月額12,980円(5ユーザーまで)
PROFESSIONALプラン:月額25,800円(10ユーザーまで)+1ユーザーにつき月額980円
※プランにより機能拡充
公式HP:https://www.wawaoffice.jp/product/db/
特長
・WEBデータベースとしての役割に特化したシステム
・集計機能や部門別の閲覧機能などスムーズな情報共有が可能
・問い合わせに限らず、社内情報をトータルで管理したい企業向け
料金
月額2,500円+1ユーザーにつき月額300円
公式HP:https://freshdesk.com/jp/
特長
・カスタマーサポート向けシステム
・多言語翻訳機能がついているので海外からの問い合わせにも対応
・toCサービスを運営する企業向け
料金
Growthプラン:1ユーザーにつき月額$15
Proプラン:1ユーザーにつき月額$49
Enterpriseプラン:1ユーザーにつき月額$79
※プランにより機能拡充
『Shelter』はWEBブラウザ上でデータベースの作成や管理が行えるクラウドサービスです。問い合わせ情報を蓄積するデータベースとしても利用できるほか、タスク管理や情報共有など様々な業務に使用するアプリケーションをプログラミングの知識なしで作成できるため社内で抱える課題に幅広く対応できます。
問い合わせ管理をする場合、問い合わせの進捗や優先度だけでなく、利用者に応じた詳細なアクセス権限機能や対応漏れ防止のための自動リマインド機能もあるため問い合わせ管理に関わる業務の全てを『Shelter』で完結できます。何より初期費用無料かつユーザー数無制限で月額15,000円の為、利用ユーザーが何人でもリーズナブルにご利用いただけます。操作感などが知りたい方はまず無料トライアルで『Shelter』をお試しください。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
最後に、今回ご紹介した内容のまとめです。
問い合わせ管理システムには以下のようなメリットがありました。
・問い合わせ内容をデータベース化できる
・対応漏れやミスが少なくなる
・ノウハウの共有
しかし、システムではなくExcelを使って問い合わせ管理を行っている企業は少なくありません。Excel管理は以下のような問題があり、あまり推奨できません。
・大量のデータに対応できない
・セキュリティリスク
・ファイル共有の手間
・属人化が起こりやすい
問い合わせで得られる情報は、機密性が高い個人情報です。そのため問い合わせ管理をする際は、Excelではなく問い合わせ管理システムを下記の観点から選びましょう。
・自社に必要な機能が揃っているか
・使いやすいUIか
・データの分析・活用がしやすいか
・情報セキュリティ対策は十分か
また、問い合わせ管理システムは大きく分けて3つの種類があります。
・受注後の顧客満足度を重視したカスタマーサポート型
・メールで数多くの問い合わせ対応を行うことを重視したEメール対応型
・問い合わせ情報の共有や分析を重視したデータベース型
自社の業務によって、適した問い合わせ管理システムは異なります、今回紹介した情報を元に、自社に合う問い合わせ管理システムを探してみてはいかがでしょうか。