RPAの費用対効果は?算出方法も解説!

RPAの費用対効果は?算出方法も解説!

企業の業務効率化が求められる今、多くの現場でロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)の導入が進んできました。RPAを活用すれば、人手による単純作業をソフトウェアロボットに任せることで、業務の正確性とスピードが向上し、短期間でのコスト削減も期待できます。

ただし、RPAの導入には初期投資や運用コストもかかるため、費用対効果を慎重に見極めることが求められるでしょう。そこで本記事では、RPA導入にかかるコストや効果を測る具体的な方法について詳しく解説します。

RPAの導入を検討している方や、コストと効果のバランスを知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

RPA導入が進んでいる背景

RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の導入が進む背景には、以下のような要因が挙げられます。

  • ・人手不足と労働力の高齢化
  • ・業務効率化とコスト削減の必要性
  • ・働き方改革とDX推進の影響

人手不足と労働力の高齢化

少子高齢化による労働力の減少により、多くの企業が深刻な人手不足に直面しています。業務量が増加する一方で労働力の確保が難しく、従来の手作業では対応が困難になるケースも少なくありません。こうした課題を解決する手段として、RPAが注目されています。

定型的な業務を自動化することで、人手不足を補いながら業務効率を向上させることが可能です。とくに、日本では人口減少が加速しており、RPAの導入が急速に進んでいます。

業務効率化とコスト削減の必要性

リモートワークの普及に伴う業務形態の変化も背景にあります。場所を選ばずに作業を行うためにはデジタル化が欠かせません。単純作業を自動化し、従業員が高度な業務に集中できる環境づくりが求められています。

さらに、グローバル競争の激化に伴い、企業は業務効率化とコスト削減を迫られている状況です。RPAを導入することでヒューマンエラーを減らし、業務の正確性とスピードを向上させることで、生産性向上とコスト削減の両立が期待できるでしょう。

働き方改革とDX推進の影響

働き方改革関連法の施行に伴い、業務負担の軽減や労働時間の適正管理が重要視されるようになりました。不要な残業を減らすため、定型業務をRPAで自動化する動きが加速しています。

さらに、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進により、RPAは既存システムとの連携性の高さからDX戦略の一環として導入が進んでいます。これにより、企業は市場の変化に柔軟に対応し、競争力を強化できるのです。

RPA導入の効果は?

RPAを適切に導入すれば、さまざまな業務で大きな効果を発揮します。単なる時間短縮だけでなく、ヒューマンエラーの削減や顧客満足度の向上にもつながります。ここでは、代表的な効果をいくつか紹介しましょう。

処理スピードの向上

まず挙げられるのは、作業スピードの飛躍的な向上です。人間が1件ずつ入力やチェックを行うのに比べて、ソフトウェアロボットが処理を担当すれば、何倍もの速さで完了します。理時間が短縮されることで顧客対応のレスポンスが向上し、結果として企業の信頼度も高まるでしょう。

業務全体の効率が上がり、組織全体の生産性アップが期待できます。

ヒューマンエラーの削減

次に期待されるのが、ミスの削減です。人手で行う場合、疲れや集中力の低下によって入力ミスや確認漏れが発生するかもしれません。しかし、RPAロボットは一度設定すれば同じ手順を正確に繰り返すため、ヒューマンエラーを最小限に抑えられます。

結果として、クレームや再作業の負担が軽減され、業務の品質向上にもつながります。

従業員のモチベーション向上

加えて、RPAの導入は従業員のモチベーション向上にも貢献します。単純で繰り返しの多い作業が削減されることで、従業員はより創造的な業務や対人対応に集中できるようになります。神的な負担が減ることで、職場の雰囲気も改善されやすくなり、結果的に企業全体の生産性向上にもつながるでしょう。

RPA導入における費用対効果の算出方法は?

RPAを導入するときは、初期投資や運用コストを踏まえて得られるリターンを数値化することが非常に重要です。どのようなコストが発生し、どんな形で利益が上がるかを把握しておくと、導入判断や継続的な改善がしやすくなります。

費用項目と算出方法

RPAの導入に際しては、さまざまな費用が発生します。ここでは、主な費用項目を整理し、それぞれの算出方法について解説します。

1. ソフトウェアライセンス費用

RPAツールを利用するには、ソフトウェアライセンス費用がかかります。この費用はロボットの稼働数や処理件数に応じて決まるため、導入前に業務量を正確に把握し、最適なプランを選ぶことが重要です。

ライセンスの提供形態には「クラウド型」と「オンプレミス型」があり、それぞれ費用体系が異なります。

クラウド型月額または年額のサブスクリプション形式で提供され、保守・運用コストが含まれることが多い
オンプレミス型自社サーバーに導入するため、初期費用が高額になるが、長期的なランニングコストを抑えられる場合もある

2. 開発・カスタマイズ費用

RPAの開発費用は、導入する業務の複雑さやシステムとの連携の有無によって大きく変動します。算出方法としては、開発にかかる人件費をベースに、プロジェクトの規模や期間を考慮して算出します。

シンプルな業務低コスト。データ入力の自動化なら比較的低コストで導入可能
複雑な業務高コスト。複数のシステム間でデータを処理する場合、外部ベンダーへの依頼や追加開発が必要となり、コストが高くなりやすい

3. 運用・保守費用

RPAを導入した後も、安定した運用と適切な保守が必要です。主な費用として、以下の要素が挙げられます。

  • ・システムの定期メンテナンス(バージョンアップやエラー対応)
  • ・サーバー管理費(オンプレミス型の場合)
  • ・セキュリティ対策費(データ保護やアクセス管理)

運用コストは月額や年額で契約するケースが多いため、導入計画時に長期的な費用試算を行うことが重要です。

4. 外部コンサルティング費用

RPA導入では、外部の専門家に依頼するケースもあります。主なコンサルティング内容は以下のとおりです。

  • ・業務プロセスの最適化支援
  • ・要件定義および設計
  • ・トレーニングや導入後のサポート

コンサルティング費用は、時間単位またはプロジェクト単位で発生するため、事前にスコープと予算を明確に設定することが重要です。

効果項目と算出方法

RPAの導入効果は、定量的効果(数値で測れる成果)と、定性的効果(業務の質の向上など)の2つの観点から評価することが必要です。

1. 定量的効果の算出方法

RPA導入による定量的効果は、業務の効率化やコスト削減といった具体的な数値で測定できます。主な算出方法は以下のとおりです。

<業務工数の短縮>

RPAを導入することで従来の作業時間がどれだけ削減されたかを測定し、業務効率化の効果を算出します。

計算式業務工数の短縮=導入前の作業時間 − RPA導入後の作業時間
業務工数の短縮の例・導入前の作業時間:8時間・RPA導入後の作業時間:1時間・短縮時間:8時間 − 1時間=7時間

このように、RPAを活用することで業務時間を大幅に削減でき、効率化が期待できます。

<人件費の削減>

RPAが業務を代替することで削減される人件費を算出します。一般的に、給与の約2倍を1時間あたりのコストとして計算するのが一般的です。

計算式人件費の削減=業務工数の短縮 × 1時間あたりの人件費
人件費の削減の例・短縮時間:7時間・1時間あたりの人件費:4,000円・削減コスト:7時間 × 4,000円=28,000円

<ミス削減によるコスト低減>

RPAはヒューマンエラーを防ぐことで、ミスによる修正作業の負担を軽減し、コスト削減につながります。正にかかる時間や発生頻度をもとに、具体的な削減効果を算出できます。

計算式ミス削減コスト=修正にかかる時間 × 1時間あたりの人件費 × 年間発生件数

このように、RPAを導入することでエラー対応の手間を減らし、業務の正確性と生産性を向上させられます。

<導入・運用コストの把握>

RPAの導入・運用にかかるコストを正確に把握することは、ROI(投資対効果)を適切に評価するうえで不可欠です。導入時の初期費用だけでなく、継続的な運用・管理コストも考慮する必要があります。

主なコスト項目は以下のとおりです。

  • ・RPAツールのライセンス費用
  • ・RPAシナリオ開発・メンテナンス費用
  • ・担当者向け研修費

ROIを正しく算出するには、RPA導入によって削減できるコストだけでなく、導入費や維持管理費も含める必要があります。

2. 定性的効果の評価方法

RPAの導入による効果は、業務時間の削減やコストカットといった定量的な面だけでなく、業務環境の改善や組織の効率化といった定性的な側面でも評価できます。主な評価ポイントは以下のとおりです。

<従業員の負担軽減>

単純作業の削減により、従業員が本来の業務に集中できる環境を整えます。RPA導入前後で業務負荷の変化を可視化し、効果を測定します。

評価方法・アンケートやヒアリングを実施し、業務満足度を数値化
・RPA導入前後の業務負荷を比較し、改善度を測定

<業務品質の向上>

RPAの導入により業務の精度が向上し、クレームやエラーの発生を抑えることが期待されます。

評価方法・クレーム発生件数の推移を比較
・顧客満足度の変化を調査

<属人化の排除>

業務の標準化が進むことで、特定の担当者に依存せず、組織全体で業務を継続できる仕組みが構築できます。

評価方法・業務のマニュアル化
・自動化率を測定
・チーム内での業務共有度を確認

RPA導入の費用対効果を測る際のポイント

RPAを導入したものの、「期待していたほどの成果が出ない」「本当に効果があったのか分からない」と悩むケースは少なくありません。これを防ぐには、導入前の計画段階から費用対効果を正しく評価し、継続的に改善を図ることが重要です。以下からは、RPAの効果を最大限に引き出すために欠かせない5つのポイントについて解説します。

導入・運用コストの正確な把握

RPAのROIを算出するには、導入コストだけでなく、継続的な運用・管理コストも考慮する必要があります。具体的には、RPAツールのライセンス費用・シナリオ開発・メンテナンス費用・担当者向け研修費などが含まれます。これらのコストを明確にしたうえで、削減できるコストと比較することが重要です。

削減可能なコストの試算

RPA導入によって削減できるコストを具体的に算出することが不可欠です。

たとえば、業務自動化による人件費の削減、ミスの低減による修正コストの削減、業務処理スピードの向上による生産性向上などが挙げられます。これらの要素を数値化し、投資回収期間(ROIの回収期間)を見積もることが求められます。

定量的な目標設定

導入効果を適切に測定するためには、定量的な目標を設定することが重要です。たとえば、「業務処理時間を50%削減」「年間〇〇円のコスト削減」など、具体的なKPI(重要業績評価指標)を決めることで、導入効果を正しく評価しやすくなります。

継続的なモニタリングと改善

RPAは導入して終わりではなく、運用後の効果を継続的に測定し、改善を重ねることが重要です。定期的なパフォーマンスチェックを行い、PDCA(計画・実行・評価・改善)サイクルを回すことで、より効果的な運用が可能になります。

業務適用範囲の見直しと拡張

RPAを導入した業務だけでなく、新たに自動化できる業務を検討することも、費用対効果を高めるポイントです。導入当初は限定的な範囲で運用し、効果を確認したうえで適用範囲を広げることで、より大きな成果を得ることができます。

RPA導入の成功事例

実際の導入事例を確認すると、RPAの具体的な有用性がより理解しやすくなります。業種や規模によって活用の仕方は異なりますが、基本的な考え方や効果の得方に共通点があるはずです。

ここでは「全社規模でのRPA活用による大幅な業務効率化」と「請求書処理の自動化による事務作業の削減」の2つの成功事例を紹介します。

事例①:全社的なRPA導入で年間20万時間を削減

ある大手企業では、グループ全体の業務改革の一環としてRPAを導入しました。経理・財務・人事・総務・資材調達・営業バックオフィス・情報システムなど、多岐にわたる部門で活用を進めています。

その結果、約700体のRPAロボットが稼働し、年間20万時間以上の業務削減を実現しました。業務プロセスの見直しや汎用ツールの活用、システム改定なども並行して行い、ICTツール全体での業務効率化効果は年間37万時間に及んでいます。

事例②:請求書処理の自動化で月間3,650時間を削減

全国展開する小売業の企業では、本部の管理業務における事務作業の負担軽減を目的にRPAを導入しました。従来は紙の請求書を会計システムに手入力していましたが、RPA導入によりAI-OCR・Excelマクロ・RPAを活用した自動化システムを構築しました。

その結果、導入初年度で年間6,000〜7,000時間の業務削減を達成。現在では月間3,650時間の削減効果を継続的に生み出しており、さらなる最適化を進めています。

RPAを導入するなら『おじどうさん』

これまで、RPAの導入メリットや成功事例について解説してきました。RPAの活用により業務の効率化やコスト削減が期待できますが、導入や運用に不安を感じる企業も少なくありません。そこでおすすめなのが、ブルーテック株式会社が提供する『おじどうさん』です。

業界を問わず柔軟に対応できるRPAソリューションで、初めてRPAを導入する企業でも安心して利用できるサポート体制を整えています。

  • ・直感的な操作:パネルを並べるだけでロボットを作成可能
  • ・充実のサポート:導入支援や問い合わせ対応がライセンスに含まれる
  • ・安定した動作:多機能コマンドでスムーズな運用を実現

さらに、無料トライアルも用意されているため、導入前に実際の操作感や効果を確認することが可能です。RPA導入を検討中の企業は、ぜひ『おじどうさん』を活用して、業務効率化と生産性向上を実現してください。

まとめ

本記事では、RPAの費用対効果・算出方法・導入のポイント・成功事例などについて解説しました。RPA導入による業務効率化やコスト削減を実現するには、コストの把握と目標設定、継続的な改善が重要です。

RPAツールは多種多様ですが、なかでも『おじどうさん』はプログラミング不要で導入しやすく、サポート体制も整っています。無料トライアルも提供されているため、操作感や導入効果を事前に確認することが可能です。RPAの導入を検討している方は、まずは試してみることで、自社に合った活用方法を見つけてみてはいかがでしょうか。

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