トップダウン経営とボトムアップ経営のメリット・デメリットとは
多くの経営者の本音として、端的にいうと以下の両極があるのではないでしょうか。
- 何もしなくても会社が回るならそれに越したことはない →現場に任せたい
- 社員に勝手なことをされては困る、思い通りに動かしたい →現場には任せられない
前者の本音に寄せているのがボトムアップ経営であり、後者に近いのがトップダウン経営だといえるでしょう。
もちろん、組織の質や扱う商材、理念などによってどちらの経営手法にも良し悪しが生じるため、全面的にどちらを採用すべきというものではありません。
それぞれのメリット・デメリットと、採用するうえで必要な点を考えてみましょう。
トップダウン経営のメリット・デメリット
上流から積極的にコミットし、経営側の意思をストレートに伝えることができるのがトップダウンです。双方の信頼関係があり、意思疎通がスムーズにいけば、トップダウンは非常に有効といえます。
ひとつの示された方向に従って人的リソースが集約されるので、その生み出す成果はうまくいけば大きなものになり得ます。
一方で、トップの圧力が強ければ強いほど、その判断に信頼がなければ現場は従ってくれないでしょう。現場の声を無視して一方的に指示を投げていては、トップダウンは機能せず、むしろ反発を受けることになります。
ボトムアップ経営のメリット・デメリット
いくら経営者が高い目線から事業全体をみていても、現場の肌感覚でないとわからないことがあります。営業であれば、顧客担当者の好みや人格、ときおり垣間見える裏に抱えた問題点など。
商品開発であれば、指先の感覚にともなうミクロなノウハウ、開発者間の人間関係など。これらをくみ取り、ひとつのエネルギーに集約できれば、底から組織を持ち上げる力となり、それが文字通り最強のボトムアップになります。
しかし、ボトムアップの考え方にもとづいて現場の視点から詳細な改善点を挙げ、それを実行する裁量権をトップに与えても、それらのエネルギーが何かしらの方向性にもとづいて集約されなければ、気持ちもノウハウもバラバラになってしまうのは想像に難くありません。
トップダウン・ボトムアップに求められるもの
どちらの方法を採用するにしても、盲信して放置してしまうと組織は混乱をきたします。
トップダウン経営では、経営者の姿が目的合理的でないと判断されれば、現場はついてきてくれません。そのため、よりトップのカリスマ性が求められます。
一方ボトムアップ経営は、会社の明確なビジョンとコミュニケーションが強く求められます。これらが欠落していては、現場は何に向けて成果を上げるべきかわかりません。
例えば、会社のホームページにビジョンや社是を記載する場合、それらはただなんとなく書いておけばいいのではありません。働く目的をはっきりさせるための大きな設計図なのです。この設計図を現場まで浸透させて、トップと現場が同じ方向を向いたとき、下からの力は、トップダウンよりも大きくなり得ます。
それぞれの経営のために、トップが頑張ること
トップダウン・ボトムアップのいずれにしても、トップがやらねばならないことがあります。組織の目的を示し、その目的に説得力を持たせることです。
それも、ただ一度示しただけでは不十分。現場から常に見られていることを意識して、ビジョンを伝え続けることが大切なのです。
トップダウン・ボトムアップの違いは、その伝え方がよりカリスマによるものか、コミュニケーションによるものかの違いであるという見方もできるでしょう。
高度経済成長期であれば、時代の流れに乗ったカリスマ性をもってトップダウン型が向いていましたが、これからは、多かれ少なかれ個の力を生かさねばならず、ボトムアップ型がふさわしい時代になりつつあります。
ノウハウやキーワードに頼らずに、組織の本当の目的を再認識して、現場に示し続けましょう。また、日々自らもそれをキープする姿勢を保つこと、これが経営の本質だといえます。
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