BCP(事業継続計画)とは?簡単にわかりやすく解説|必要性や策定手順についても紹介
「BCPとは?」「簡単にわかりやすく解説してほしい」「自社にどのように取り入れたらいいか知りたい」
この記事では以上のような方向けに、BCPの意味や必要性・自社に取り入れる際の手順について紹介していきます。言葉を分解してひとつひとつ意味を紹介するので「横文字や英語は苦手」という方でもBCPの意味を理解できるようになります。
また、BCPを自社に取り入れる方法についても紹介するので、意味を理解するだけでなく学びを活かしていけるようになるでしょう。
BCPは緊急時の被害を最小限に抑えるために役立ちます。「自社の経営を安定化させたい」という方はこの記事を通して、BCPへの理解を深めてぜひ取り入れてみてください。
【この記事の内容】
BCP(事業継続計画)とは?
BCPとは「Business Continuity Plan」の略です。単語ごとに意味を見ていくと、BCPの内容が簡単に理解できます。それぞれの単語の意味は以下の通りです。
- ・Business:事業
- ・Continuity:継続性
- ・Plan:計画
上記のように、BCPは日本語では「事業継続計画」と呼ばれています。簡単に言い表すなら、企業経営を安定させるための計画です。
自然災害や予測できない事故など、業務に大きな支障をきたす可能性のある緊急事態が発生した場合に、業務を継続するために必要な対策のことを指します。
たとえば、従業員の安全をどのように確保するのか、製品やサービスの提供に必要な物資や情報はどのように調達するのかなどを定めるのです。事前に対策を決めておくことで、緊急時に社内の混乱を防いで自社の利益を守れるようになります。
BCPの必要性・メリットとは?
続いて、BCPを自社に取り入れる必要性やメリットについて見ていきましょう。BCPを自社に取り入れると以下3つのメリットがあります。
- ①被害を最小限に抑える
- ②従業員の安全を守る
- ③取引先や顧客からの信頼を維持する
なお、BCPにテレワークを取り入れるメリットについては次の記事で紹介しています。さらに詳しく知りたい方はこちらも参考になさってください。
>BCPにテレワークを取り入れるメリットとは?それぞれの意味や導入時の注意点3つを紹介
①被害を最小限に抑える
BCPの最大の効果は、緊急事態が発生した際の被害を最小限に抑えることです。あらゆる事態を想定した計画を立てておくことで、企業は迅速かつ効果的に対応し、災害の影響を軽減できます。
状況を正しく把握して、さらなる被害を避けるために取るべき手順を決めておくのです。被害を最小限に抑えることができれば、たとえ災害などが起こっても経営を安定的に続けられます。
経営にリスクはつきものであり、対策をしなければ安定性は得られません。BCPで起こりうるリスクを想定し、できる限りの対策を事前に考えておきましょう。
②従業員の安全を守る
自社の経営において従業員の安全確保は重要な課題です。BCPでは、従業員の身の安全を守るための計画も作成します。
企業が緊急事態を予測して準備できれば従業員の安全を守れますし、被害を受けた事業の復興に人員を避けるようになります。
緊急時に従業員の安全を守れる企業は、イメージがよく「働きたい」と感じる人も多くなるでしょう。また、緊急時にも動ける人材を確保することは、自社にとっても被害を最小限に抑える上で非常に大切です。
③取引先や顧客からの信頼を維持する
BCPをしっかり準備することで従業員の安全を確保しやすくなり、同時にサービスの提供を持続できるので取引先や顧客からの信頼も高まります。
「緊急時でも適切な対応をしてもらえる」「従業員を大事にする企業だ」という好印象を世間に与えられるため、企業イメージの向上につながるのです。
規模の大きな自然災害などが起こった場合には、被害状況によっては経営を断念したりサービスを停止したりする企業も多く出てきます。そのような状況でも、復興に必要な物資やサービスを提供し続けられれば、高い信頼を得られますし社会貢献にもつながるでしょう。
BCPの問題点・デメリットとは?
BCPは企業にとって有益なものですが、以下2つのようなデメリットも存在します。
とは言え、デメリットを事前に知っておけばより効果的なBCPを策定できるようになります。マイナスに考えるのではなく、デメリットを踏まえた上でさらによいBCPをつくることを目指してみてください。
- ①計画通りに行動できない可能性がある
- ②自社の事業に合っていないと役に立たない
①計画通りに行動できない可能性がある
BCPの計画通りに行動できず、想定外の被害を出してしまう可能性があります。
計画を立てる際にリスクを小さく見積りすぎたり、具体的な行動が示されておらず実行できなかったりすることなどが原因として挙げられます。
リスクを正しく見積もって、具体的にどのような行動をして被害を食い止めるのかを記述することが大切なのです。
また、BCPが完成したら社員に内容を伝えて、実際に行動できるレベルまで覚えてもらうことも必要です。地震や火事の避難訓練と同じように繰り返し訓練を行うことで、何も考えずとも身体が勝手に動くようにできるのがベストでしょう。
BCPの内容について伝えるマニュアルを作成したり、社員研修を行なったり、訓練を実施したりしてBCP通りに行動できる状態を目指してみてください。
②自社の事業に合っていないと役に立たない
BCPが効果を発揮するためには、自社のビジネスに合わせた計画を立てることが必要です。
初めてBCPを自社に取り入れる場合には、他社のBCPなどを参考にすることもあるかもしれません。しかし、自社と他社では事業の性質が異なるものです。他社にとっては優れたBCPであったとしても、自社に合っているとは限りません。
複数の企業のBCPとそれぞれの中核事業を照らし合わせることで、自社に合うBCPの特徴も見えてくるでしょう。また、BCPは繰り返し吟味して改善を繰り返すことで、より自社に合ったものへ近づけられます。
BCPを作成する手順とは?
BCPの作成は一見敷居が高く複雑そうに見えますが、複数のステップに分けることでより簡単に行えるようになります。BCPの作成には以下5つのステップがあります。
- ①基本方針を作成する
- ②中核事業を特定する
- ③リスクを洗い出し優先順位を決める
- ④具体的な対策を検討する
- ⑤BCPの策定
①基本方針を作成する
BCPを策定する上で基本方針の作成が1番大切です。BCPの目的・範囲・主要な戦略などの大まかな方向性を決めるものだからです。
復興に対して使えるリソースや起こりうるリスクレベルなどを考慮し、自社のニーズに合わせて作成していきましょう。
②中核事業を特定する
このステップでは、企業の重要な機能と業務を特定します。緊急事態に真っ先に守るべき事業を決めるのです。
経営を支える収入の柱となる事業が中核事業です。中核事業が何かによってどのように被害を抑えていくかの戦略が変わってきます。中核事業を定めてからリスク対策を考えるようにしてください。
③リスクを洗い出し優先順位を決める
潜在的なリスクを分析・評価し、そのリスクが起きる確率と重大性に基づいて優先順位をつけましょう。
中核事業が続けられなくなるリスクをできるだけ多く挙げてください。その後、被害の大きさなどからリスクに優先順位をつけていくのです。リスクの列挙と優先順位づけを分けて行うと、抜け漏れのない計画が立てやすくなるのでぜひ実行してみてください。
中核事業を先に定めておくことで、効率よく自社の経営を立て直す対策が立てられるのを実感できるでしょう。
④具体的な対策を検討する
ここでは、特定したリスクを軽減するために必要な対策を立てていきます。
具体的な対策では、中核事業を続ける上で必要な物資や資金・情報・ソフトウェアなどをどこから得るのかを考えます。「資金を調達する」などとざっくりとしたものではなく「復興資金は〇〇の予算を使う」などと具体的に書きましょう。
具体的に決めなければ、実際に行動するとき具体的にどうするのかを決めなければならず、すぐに動けないからです。
緊急時の行動にはスピードが大切です。計画を見ればすぐに実行できるようにできるだけ具体的に決めてみてください。
⑤BCPの策定
ここまで定めてきた情報をまとめて、実際にBCP文書を作成します。それに加えて、対策を実行する際に必要な連絡先や、計画を実施した際に得られるであろう結果などの情報を含めるようにしてください。
また、話し合ったことについてはなるべく記録に残すようにし、BCPをより良いものにしていくために役立てましょう。
より詳しくBCPのつくり方を知りたい方や、BCPを運用していく際のポイントについても知りたい方は以下の記事も参考にしてみてください。
>BCPの策定手順と考慮すべき項目とは?社内に浸透させてうまく運用する方法も紹介
BCPにつながる具体的な取り組みとは?
緊急事態への備えはBCPを策定する以外にも方法があります。一例として、ここでは以下2つを取り上げます。
- ①テレワークの導入
- ②コミュニケーション手段の確保
①テレワークの導入
従業員に対するテレワーク制度の導入を検討しましょう。テレワークを導入すれば、自然災害やテロなどの緊急時にも、従業員の生産性を確保できるからです。
一箇所のオフィスに従業員が集中している場合、オフィス近くで災害などが発生すると全員が被害を受けることになります。しかし、テレワークであれば従業員の居場所がバラバラであるため、災害などが起こっても安全を確保できる人がいる可能性が高まるのです。
居場所を集中させないことがリスク分散につながり、緊急時の備えとなります。
テレワークを取り入れることによる、災害時対応のメリットについては以下の記事を参考にしてみてください。
>BCPにテレワークを取り入れるメリットとは?それぞれの意味や導入時の注意点3つを紹介
②コミュニケーション手段の確保
従業員が利用できる安全なコミュニケーション手段を確保することも重要です。
災害などが起こった際、従業員の安否確認や被害状況の確認のためにコミュニケーションが欠かせないからです。電話やメールは1対1のコミュニケーションには適していますが、複数人での相互のやり取りはしづらいでしょう。
ビジネスチャットツールなど、1画面で全員の発言が確認できるコミュニケーション手段を取り入れると、災害時の連絡がスムーズになります。もちろん、導入したツールは平常時のコミュニケーション活性化にも役立ちます。
BCPのお取組み事例
BCPに取り組んでいる企業の事例をご紹介します。
- ①株式会社A社 製造業(水産加工業)
- ②株式会社加藤建設 建設業
- ③ちばぎんコンピューターサービス株式会社 金融業
①株式会社A社 製造業(水産加工業)
水産加工業界の株式会社A社は、災害時の対応として次の項目を掲げています。
- ・鮮魚はその日使う分だけ仕入れる
- ・魚を捌く割裁機の修理中は手作業で実施する
- ・ITデータをバックアップしておく
水産加工では鮮度が命であるため、冷凍庫や冷蔵庫などが機能しなくなったシーンを最も重要視して計画を立てています。
このように、中核事業を復旧していく計画を立てることが重要です。
修理についても、部品の仕入れ先や修理にかかる期間まで事細かに決められています。
参考:大分県「平成23年度大分県中小企業事業継続計画策定支援事業」
②株式会社加藤建設 建設業
株式会社加藤建設では、復旧の計画を立てた上で訓練を実施し、有事の際にスムーズに動けるよう対策しています。
- ・非常用電源設備の稼働訓練
- ・メールによる協力要請訓練
- ・緊急避難所の開設訓練
上記のように訓練を細分化することで、手順を細かく確認し、抜け漏れのない対策が可能です。
また、訓練は年2回実施し、自社社員だけでなく関係者を含めて実施したり、時間帯をズラしたりしてより実戦に近い形で実施しています。
参考:国土交通省「建設会社における災害時の事業継続力認定 BCP訓練事例集」
③ちばぎんコンピューターサービス株式会社 金融業
ちばぎんコンピューターサービス株式会社は、有事の際の連絡手段としてビジネスチャットツールを導入しています。
従来は無線機を使用していたものの、日常的に持ち歩かなければならず、本体の重量が社員の負担になっていました。
また、無線機は日頃から使うわけではないため「緊急時に本当に使えるのか?」という課題もある状態でした。
その点、ビジネスチャットツールはスマートフォンやPCでの操作が可能で、普段の業務連絡にも活用可能です。
- ・機器の持ち運びによる平常時の負担軽減
- ・操作方法の不安を払拭
- ・業務連絡の効率化
ビジネスチャットツールの導入により、これらの課題解決に成功しました。
BCPの取り組みを簡単にするビジネスチャットツール『DiSCUS』
BCP対策に有効なツールとして、ビジネスチャットツールがあります。ビジネスチャットツールを使えば、チームは簡単につながれるようになり、テレワークも可能になるからです。
オフィスにいる人も遠隔地にいる人も、チャットにて意見交換をしたり瞬時にドキュメントを共有したりできます。これにより、BCPの取り組みがより簡単にできます。
ちなみに『DiSCUS』なら、画面がシンプルで操作が簡単なので、緊急時で慌ててしまいやすい状況でも操作ミスをしにくく使いやすいです。チャットの機能に特化しているため、ツールの動きもスムーズで通信環境が乱れやすい状況でもスピーディーな連絡がしやすくなります。
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まとめ|BCPとは何かまずは簡単に理解しよう
BCPはどんな企業にとっても経営を安定させるために大切なものです。
BCPの取り組みを実施することで危機発生時の被害を最小限に抑え、継続性を確保できます。さらに、テレワークやビジネスチャットツールなどを導入すれば、BCPを最大限に活用できます。
「BCPについてさらに詳しく知りたい」「策定する際に入れ込むべき項目を知りたい」「運用のポイントも知りたい」という方は以下の記事もご覧ください。