デジタルデバイドって?意味や原因・取り組みについて解説
インターネットの普及に伴い「デジタルデバイド」という言葉が頻繁に使われるようになりました。しかし「あまり馴染みがない」あるいは「どういう意味なのかよくわからない」という方も多いのではないでしょうか。
デジタルデバイドを理解することは、社内のICT化・業務効率化には欠かせません。
今回はデジタルデバイドの意味・種類・原因・対策について紹介します。デジタルデバイドの意味を理解した上で、社会や自社にプラスになる取り組みをしていきましょう。
【この記事の内容】
デジタルデバイドについて
デジタルデバイドとは、インターネット・携帯電話などのデジタル情報技術にアクセスできる人と、そうでない人の間の不平等を表す言葉です。日本語では「情報格差」と呼ばれます。
技術的な差のように感じるかもしれませんが、デジタルデバイドは実際には社会的な問題にも発展しています。
デジタルデバイドという言葉は、高速インターネットアクセスや高速モバイルネットワークが整備されている国と、そうでない国の間にある大きな格差を指して使われることが多いです。しかし、そのほかの意味でも使われることがあります。デジタルデバイドの種類については、次章で紹介していきます。
デジタルデバイドの種類
デジタルデバイドには以下3つの種類があります。
- ①国際間デバイド
- ②地域間デバイド
- ③個人間・集団間デバイド
①国際間デバイド
国際的なデジタルデバイドとは、国によって技術へのアクセス、とくにインターネットへのアクセスに対する機会の差のことです。この種の格差は、先進国と発展途上国の間で最も顕著に見られます。
米国・日本・多くのヨーロッパ諸国などの先進国は、インターネットにアクセスしやすく、サービスの質も高い傾向にありますが、発展途上国ではまだ通信インフラが整っていないこともあり、先進諸国と同レベルのインターネット回線を提供することに苦労しています。
②地域間デバイド
先進国であっても、デジタル技術の整備が進んでいる地域とそうでない地域があります。例えば、農村部と都市部はその最たる例です。
農村部では都市部より通信インフラが整っていないことやIT人材の不足といった理由からモバイルネットワークや高速インターネットにアクセスできる機会が少なく、一部の農村部や離島などの遠隔地では全くと言っていいほどアクセスできない地域もあります。
③個人間・集団間デバイド
デジタルデバイドは国や地域だけでなく、個人や集団の間にも見られることがあります。格差の原因はさまざまですが、所得・年齢・性別・教育・障がいなどであることが多いようです。
たとえば、所得の高い人は所得の低い人に比べて、パソコンや携帯電話などの高価な機器や、より高速なインターネットサービスを購入できる可能性が高くなります。同様に、教育や技術的なトレーニングを受けている人は、そうでない人よりもこれらのテクノロジーを活用できる可能性が高いです。
デジタルデバイドの原因
デジタルデバイドが起きてしまう原因として以下9つが挙げられます。
- ①地方の環境整備に対応できる体制のなさ
- ②地方における高齢化・過疎化
- ③IT知識のある人材不足
- ④若年層のパソコン離れ
- ⑤所得の差
- ⑥年齢による差
- ⑦障がいの有無による差
- ⑧ネットの利用目的による差
- ⑨インフラ整備にかかるコスト
①地方の環境整備に対応できる体制のなさ
地方では、地理的・経済的・文化的な条件により、デジタル機器を有効に活用するための環境整備が困難な場合が多いです。
そもそも高速インターネットがなかったり、デジタル機器が少なかったりします。人口の少ない地方では、デジタル機器を利用しやすくするためにインフラ整備をしたとしても、そのコストに見合うだけの需要がないからです。
②地方における高齢化・過疎化
地方では高齢化が急速に進み、若年層の割合が減少しています。
そのため、必要なインフラの整備や教育制度の確立・デジタル機器の利用を促進できる産業の育成などが難しくなっており、経済への悪影響が懸念されています。
③IT知識のある人材不足
物理的なインフラの不足に加え、人材にも問題があります。地方では、ITサービスに対する需要が少なく、人材も不足しているため、IT人材の確保・育成が困難な場合が多いのです。
IT人材の不足により、地方ではデジタル機器や技術の活用が進まない事態となっています。
④若年層のパソコン離れ
デジタルデバイドのもう一つの原因は、若い世代においてパソコンの利用機会が少なくなっていることが挙げられます。
近年、スマートフォンに代表される手軽なデジタル機器が普及しているため、パソコンを利用する機会が減少しているのです。
しかし、IT技術・スキルの中にはスマートフォンだけで学ぶのが難しいものも多く、若年層のパソコン離れはIT人材の不足を加速させています。
⑤所得の差
デジタルデバイドは、人々の所得格差にも起因しています。所得の高い人は最新のテクノロジーにアクセスできる可能性が高いですが、所得の低い人は最新の機器を購入する余裕がない可能性があるからです。
こういった問題に関しては所得の再分配やデジタル機器の支給などといった政府主導の対策が必要となってくるでしょう。
⑥年齢による差
デジタルデバイドには年齢も大きく関わっています。高齢者はデジタル機器やインターネットを効果的に利用するためのスキルや知識が不足していることが多い一方で、若者はデジタル技術を簡単に使いこなせる場合が多いです。
若い世代は子どもの頃からデジタル機器に親しんでいるため、自然と使い方を覚えているのです。これにより若者と高齢者の間にアクセスできる情報量に差が生まれてしまい、デジタルデバイドをさらに拡大させています。
⑦障がいの有無による差
デジタルデバイドは障がいの有無も原因になっています。障がい者はインターネットやその他のデジタル技術へのアクセスが制限されることが多いからです。たとえば、目が見えない人は通常のデジタル機器を使用できません。
そのため、インターネット上でのみ受け取れる重要な特典やサービスから排除されることもあり、デジタルデバイドはさらに広がっています。
⑧ネットの利用目的による差
インターネットを利用する目的も、デジタルデバイドの大きさに影響を与えます。例えば、教育・仕事などの目的でインターネットを利用する人は、ITリテラシーが高い傾向にあります。
逆にネットを娯楽として利用する人は、ネットを活用して何かを生み出すことはあまりしない傾向にあるため前者と比較してITリテラシーを高めにくいです。
ITリテラシーが高い人ほど高度な情報をネットから得やすいため、デジタルデバイドが生まれるのです。
⑨インフラ整備にかかるコスト
インフラ整備にかかるコストもデジタルデバイドを広げる大きな要因です。通信インフラを整備するには、光回線やサーバー、パソコンといったハードウェアやソフトウェアなどに多大な投資が必要となります。
こういった投資コストを支払える通信会社や自治体がない場所では、インフラが整わずそもそもネット環境にアクセスできない状態になるケースも多いのです。
デジタルデバイドが企業や社会に与える影響
デジタルデバイドが広がると、企業や社会に以下4つの悪影響が出る可能性があります。
- ①情報にアクセスできない人が孤立化する
- ②収入の格差が広がる
- ③ICT化・グローバル化が遅れる
- ④災害による悪影響を受けるリスクが増える
①情報にアクセスできない人が孤立化する
デジタルデバイドは、デジタル技術にアクセスできない人々の孤立感につながる可能性があります。パソコン・Wi-Fi・スマートフォンへのアクセスができないため、インターネット上で利用できる膨大な情報やサービスを活用できません。
インターネットにアクセスできないことで、就職や教育・医療福祉といった重要な情報へのアクセスもままならなくなる可能性があります。情報を手に入れる術がなく、社会の流れに置いていかれて孤立してしまうのです。
②収入の格差が広がる
デジタルデバイドは、収入面でも不平等をもたらす可能性があります。
テクノロジーにアクセスできなければ、求人情報にアクセスしたり、仕事に応募したり、IT業界で競争力を発揮するために必要なスキルを身につけたりできないからです。
③ICT化・グローバル化が遅れる
企業がICT化・グローバル化戦略を進めていく上で、デジタルデバイドが障害となる可能性があります。
デジタル技術にアクセスできなければ、そもそもICT化(IT技術で業務効率をアップさせること)もできませんし、遠く離れた海外との通信も難しいからです。
④災害による悪影響を受けるリスクが増える
デジタルデバイドは経済的・社会的な問題に加え、災害による悪影響のリスクも高める可能性があります。
デジタル技術にアクセスできない場合、災害に関する情報が即座に得られず、避難場所や危険地帯の把握や迅速な避難を困難とするでしょう。また、緊急地震速報のようなアラートを受けられないことで、危険に気づかない可能性もあります。
デジタルデバイド対策に向けて必要なこと
デジタル・デバイドの影響を軽減するための取り組みとして、以下4つを紹介します。
- ①デジタル機器を使用できる機会を平等にする
- ②ITに詳しい人材を増やす
- ③操作が簡単なデジタル機器を使用する
- ④リモートワーク環境を整える
①デジタル機器を使用できる機会を平等にする
デジタルデバイドを解消する最も効果的な方法のひとつは、デジタル技術へアクセスする機会を増やすことです。デジタル機器やネット環境を使える場所が増えれば、意欲のある人は自然にアクセスするでしょう。
パソコンやスマートフォンなどのデジタル機器へのアクセスは、デジタル経済に対応するために必要不可欠です。低所得世帯やコミュニティ、とくに農村部や遠隔地に住む人々へデジタル機器を支給するといった施策を政府が先導していくべきでしょう。
②ITに詳しい人材を増やす
デジタル機器を提供するだけでなく、それを利用するために必要なスキルを身につけることも重要です。
IT人材を増やすためには、パソコンやその他のデジタル機器の使い方を教えるトレーニングや、教育プログラムを実施する必要があります。企業においては社内研修などを実施するとよいでしょう。
③操作が簡単なデジタル機器を使用する
すべての人がデジタル技術にアクセスできるようにするためには、使いやすい機器を使うことが重要です。操作が簡単であればITに関する知識や経験が浅い人でも、デジタル機器を無理なく使えるからです。
画面が見やすく直感的に操作できるものを使用したり、使い方をサポートするサービスが充実しているものを選んだりするといった対策を行うべきでしょう。
④リモートワーク環境を整える
ビジネスの現場においてはデジタル機器へのアクセスに加え、リモートワークのための環境整備も重要です。どこでも必要な情報にアクセスできれば、業務もスムーズに進みますし、社内における情報へのアクセス機会も均等になりやすいからです。
そのためには、安全で信頼性の高いネットワークやサポートが充実しているクラウドサービスを利用すると良いでしょう。
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また、コミュニケーションをオンライン上で行えるようになるので、リモートワークも可能になります。
そもそもビジネスチャットとは何かを知りたい方や、ビジネスチャットを会社に導入するメリットについて知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
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まとめ |職場のデジタルデバイドを解消してICT化を進めよう
デジタルデバイドとはデジタル機器やインターネットを利用する機会の格差です。この格差によって保有できる情報に差が生じ、孤立化したり所得に差が出たりします。
社内のデジタルデバイドを解消すると自社のICT化を進めやすくなります。「時代に合わせてICT化したいのに社員に反対される」といった悩みがある方は、この記事を参考にしながらまずはデジタルデバイドを解消していきましょう。
なお、ICT化については以下の記事で解説しています。「ICT化って何?」「ICT化の進め方を知りたい」という方はこちらも参考にしてください。